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DATA-DRIVEN NOVEL RANKING

辻村 深月

独自に収集した評価データで選ぶ、"本当に愛されている小説"のランキング

PROFILE

山梨県笛吹市出身の小説家。幼少期からミステリーやジュブナイル小説に親しみ、小学6年生のときに綾辻行人の作品に衝撃を受けて以来、ミステリへの強い関心を持ち続けた。千葉大学教育学部卒業後、団体職員として働きながら執筆を続け、2004年に「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2008年に専業作家となる。2012年に「鍵のない夢を見る」で直木三十五賞を、2018年には「かがみの孤城」で本屋大賞を受賞するなど、幅広いジャンルで高い評価を受けている。ミステリーを基盤としながら、家族・青春・社会問題など多彩なテーマを描き、児童向けから大人向けまで幅広い読者層を持つ。藤子・F・不二雄作品からも深い影響を受けており、2025年からは直木賞の選考委員も務める。

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ランキング

1かがみの孤城

かがみの孤城

2017年刊行

25,275pt

TOTAL SCORE

学校での居場所を失い、部屋に閉じこもっていた中学生の少女、こころ。ある日突然、自室の鏡が光り始め、その先には城のような不思議な建物が現れる。そこには、こころと似た境遇を抱えた7人の少年少女が集められていた。オオカミのお面をつけた謎の少女に導かれ、城に隠された鍵を探せばどんな願いも叶うと告げられる7人。9時から17時までという厳格なルールのもと、少しずつ心を開き、絆を深めていく彼らだが、城の終わりの日は刻一刻と迫っていた。いじめ、家庭環境、それぞれが抱える事情が明かされるにつれ、なぜこの7人が、なぜこの場所に集められたのか、その真相が輪郭を帯びていく。「前半の行く先の見えないやるせなさ、最後にすべてのピースが出揃った時の未来への希望」と読者が語るように、終盤には怒涛の伏線回収と大きな感動が待ち受ける。生きづらさを感じるすべての人へ贈る、本屋大賞受賞の傑作ファンタジーミステリー。

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絶賛17,206
好評8,478
普通3,090
不評464
酷評199

TOTAL 29,437 reviews

2傲慢と善良

傲慢と善良

2019年刊行

22,186pt

TOTAL SCORE

婚約者が突然姿を消した。その居場所を探す男が直面するのは、彼女の知られざる過去と、現代社会が抱える生きづらさの根源だ。恋愛ミステリーの体裁をとりながら、この物語が本当に問いかけるのは、人が誰かを選ぶとき、あるいは選ばれようとするとき、その心の中で何が起きているのか、という一点に尽きる。結婚相談所の仲人が語る言葉が鋭く刺さる。うまくいく人は自分の欲しいものが明確で、未来のビジョンがある人。そして、ピンとこないという感覚の正体は、自分が自分につけた値段に相手が見合わないという、無意識の傲慢さだという。善良に生きているつもりの人間が、実は誰よりも傲慢であるという逆説。傲慢と善良は対極ではなく、ひとりの人間の中に静かに共存している。前半と後半で視点が切り替わり、同じ出来事がまったく異なる色彩を帯びて浮かび上がる構成も秀逸だ。読み終えたとき、真実を責められる人間が果たしてどれだけいるだろうか、という問いが重く残る。

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絶賛14,592
好評11,871
普通5,780
不評1,349
酷評639

TOTAL 34,231 reviews

3スロウハイツの神様

スロウハイツの神様

2007年刊行

14,515pt

TOTAL SCORE

人気作家チヨダ・コーキの小説をきっかけに、ある人物が命を絶った。その事件から10年後、クリエイターたちが集う共同アパート「スロウハイツ」を舞台に物語は幕を開ける。脚本家の赤羽環とコーキを中心に、漫画家や映画監督を目指す若者たちが夢を語り、刺激し合いながら暮らしていた。まるで現代版トキワ荘とも呼ぶべき、眩しくも青春に満ちた空間だ。しかし空室だった201号室に謎めいた新住人・加々美莉々亜が加わったことで、その空気は少しずつ変わっていく。そしてもう一つの謎が浮かび上がる。あの事件直後、絶望の淵に立たされたコーキに128通もの手紙を送り続け、彼を救った少女とは一体誰なのか。上巻では丁寧に積み重ねられた登場人物たちの人間模様が、下巻で一気に収束し、伏線回収の嵐が読者を襲う。「気持ちよく騙された」「想像以上に優しい着地」と読者を唸らせる構成力と、人と人が支え合うことの尊さが胸を打つ、感動の青春群像劇。

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絶賛5,910
好評5,016
普通2,933
不評460
酷評120

TOTAL 14,439 reviews

4ツナグ

ツナグ

2010年刊行

13,509pt

TOTAL SCORE

一生に一度だけ、死者と再会できる。そんな奇跡のような力を持つ存在、使者に頼み込んだ四人の物語が静かに幕を開けます。突然この世を去ったアイドルにひそかに支えられていたOL、母に癌告知ができなかった頑固な息子、親友への嫉妬心を抱えたまま別れを迎えた女子高生、そして失踪した婚約者の真実を探し続ける会社員。それぞれが深い後悔や未練を胸に、たった一夜の邂逅へと臨みます。再会は必ずしも癒しをもたらすとは限らず、会ったことで生まれる新たな傷もある。死者に会いたがるのは、生者の傲慢なのか、それとも前へ進むために必要なことなのか。そしてこの使者の役目を担う少年歩美が、数々の再会に立ち会ううちに、人の人生に寄り添う重さをじわりと体感していきます。最終章では、これまでの物語が静かに一本の線へと収束し、読者の心を深く揺さぶります。ミステリーの香りをまとったファンタジー連作長編です。

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絶賛4,710
好評5,759
普通2,834
不評390
酷評97

TOTAL 13,790 reviews

5凍りのくじら

凍りのくじら

2005年刊行

12,029pt

TOTAL SCORE

藤子・F・不二雄を「先生」と呼ぶ父を持ち、その影響でドラえもんを深く愛する女子高生・芦沢理帆子。父が失踪して五年、彼女は誰に対してもそつなく振る舞いながら、内心では周囲の人間を冷めた目で分析し続ける。自分に名付けたレッテルは「少し・不在」。藤子先生が語ったSFとは「すこし・ふしぎ」という意味だと父から教わり、理帆子はその哲学を人間観察の道具にしてきた。そんな彼女がある夏の図書館で、「写真を撮らせてほしい」と声をかけてくる謎めいた青年と出会う。人とのつながりを避けている人ほど、実は誰かとのつながりを必要としているのではないか。読者をそう問いかけてやまない物語は、中盤から一気に不穏な空気をまとい始め、母の病、元恋人の危うい狂気、そして白く凍った海の底に沈むくじらのような孤独感が積み重なっていく。ドラえもんの秘密道具が章のタイトルを飾り、散りばめられた伏線が終盤に一気に回収される構成は圧巻。読み終えた後、プロローグを読み返して初めてその深みに気づく、少し不思議でたしかに温かい一冊。

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絶賛4,130
好評3,792
普通2,126
不評415
酷評98

TOTAL 10,561 reviews

6冷たい校舎の時は止まる

冷たい校舎の時は止まる

2004年刊行

11,307pt

TOTAL SCORE

雪が降り積もるある朝、いつも通り登校したはずの8人の高校生が、突然誰もいない校舎に閉じ込められる。開かない扉、鳴らないチャイム、そして5時53分で止まったままの時計。凍えるような静寂の中、彼らはふと気づく。2ヶ月前の学園祭で、クラスメートが命を絶ったことを。しかしその顔も名前も、どうしても思い出せない。謎の存在「ホスト」に導かれるように、8人はそれぞれの心に潜む闇と向き合わされていく。嫉妬、劣等感、すれ違い、そして誰にも言えなかった痛み。「青臭くも瑞々しい、痛々しくも美しい」青春の断片が、閉ざされた校舎の中で次々と暴かれていく。仲間が一人また一人と消えてゆく恐怖の果てに、止まっていた時計は再び動き出す。ミステリ、ホラー、青春、ファンタジーが渾然一体となったこの作品は、著者のデビュー作にして第31回メフィスト賞受賞作。読み終えたとき、「心から生きていてよかったと思えた」という声も多い、圧倒的な読後感を誇る物語。

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絶賛3,578
好評4,809
普通3,886
不評574
酷評146

TOTAL 12,993 reviews

7ファイア・ドーム

ファイア・ドーム

2026年刊行

11,024pt

TOTAL SCORE

北陸の地方都市を舞台に、25年の時を超えて絡み合う二つの事件を描いた、上下巻合わせて約900ページの大長編ミステリー。かつてこの町を揺るがした百貨店受付嬢の誘拐事件は、犯人だけでなく被害者やその家族にまで根拠のない憶測と誹謗中傷の炎を降り注いだ。そして四半世紀後、静かさを取り戻したはずの町で、事件の被害者一家の孫にあたる小学生が写生遠足の帰りに姿を消す。担任教師、新聞記者、被害者遺族、そして事件関係者、複数の視点で描かれる群像劇の中で、噂という名の炎が再び町を包み込んでいく。「悪意のない噂話がいちばん怖い」という読者の言葉が示す通り、善意や好奇心から生まれた言葉が人を傷つける構造が、緻密な人物描写によって容赦なく描かれる。過去と現在の事件が絡まり合いながら真相へと向かう構成は圧巻で、最終章には読者を震わせる収束が待つ。

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絶賛3,136
好評1,495
普通328
不評35
酷評10

TOTAL 5,004 reviews

8ぼくのメジャースプーン

ぼくのメジャースプーン

2006年刊行

10,994pt

TOTAL SCORE

小学4年生の「ぼく」が持つのは、相手に条件を提示し縛りつける、不思議な言葉の力。学校で起きた陰惨な事件により、大切な幼なじみのふみちゃんは心を閉ざし、言葉を失ってしまった。彼女を取り戻したい「ぼく」は、同じ力を持つ秋山先生のもとへ通い、7日間にわたる濃密な対話を重ねる。罪とは何か、罰とは何か、正義とはどこにあるのか。まるで哲学の問答のような師弟の会話は、読者にも否応なく「自分ならどうするか」を突きつけてくる。小学生が主人公でありながら、扱うテーマは重く、深く、そして正解がない。秋山先生との対話の果てに「ぼく」が選んだ言葉は、純粋でありながら誰も想像しなかった驚きに満ちている。さらに他の辻村作品とつながる仕掛けも散りばめられており、読み解く楽しさも格別だ。著者自身が「逃げないと決めていた、私の自信作」と語るこの物語は、罪と罰の重さを全身で受け止める、忘れがたい読書体験をもたらす。

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絶賛3,331
好評3,269
普通1,977
不評283
酷評63

TOTAL 8,923 reviews

9名前探しの放課後

名前探しの放課後

2007年刊行

10,005pt

TOTAL SCORE

「俺、もしかして過去に戻された?」撤去されたはずの看板を目にした高校生の依田いつかは、3ヶ月前の過去に引き戻されたことを悟る。そして浮かぶ一つの記憶。近い未来、クラスメートの誰かが自ら命を絶つ。しかしその名前が思い出せない。いつかはクラスメートの坂崎あすなに打ち明け、2人は「誰か」の名前を探し始める。やがて仲間が集まり、いじめに遭いながら自分の死亡記事を書き続ける河野という生徒が浮かび上がる。全員が容疑者、見えない動機、迫るXデー。読者の多くが「えっ、えっ、えっ…はぁ…ん?えぇぇぇぇーーーっっ?で一気読み」と表現するほど、終盤にかけて予想を裏切る展開が連続する。さらに著者の他作品とも深くリンクしており、辻村ワールドを知る読者には鳥肌もののどんでん返しが用意されている。ミステリー、青春、SFの要素が絶妙に融合した上下巻の長編作品。

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絶賛2,578
好評2,530
普通1,326
不評112
酷評17

TOTAL 6,563 reviews

10子どもたちは夜と遊ぶ

子どもたちは夜と遊ぶ

2005年刊行

9,880pt

TOTAL SCORE

孤独と闇が生み出す悲哀の長編ミステリー。海外留学をかけた論文コンクールに現れた謎の学生「i」。その登場をきっかけに、大学生たちの歪んだ片想いの連鎖が動き出す。高校生の失踪、そして次々と命が奪われていく連続事件。木村浅葱はその真相を知りながら、姿なき「i」に会うためのゲームへと踏み込んでいく。愛したい、しかし拒絶されたくない。その葛藤が生む孤独と歪んだ繋がりが、取り返しのつかない悲劇を呼び込んでいく。「夜と遊ぶ」しかない子どもたちの、痛ましいほど切実な姿が浮かび上がる。読者からは「ノンストップで読まされる」「読む手が止まらない」と圧倒的な没入感が支持され、緻密に張り巡らされた伏線がラストへ向けて一気に収束していく構成は圧巻。愛と孤独が交差する先に待つ、残酷な真実とは。

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絶賛2,557
好評3,181
普通2,205
不評248
酷評37

TOTAL 8,228 reviews

11朝が来る

朝が来る

2015年刊行

9,574pt

TOTAL SCORE

特別養子縁組という制度を軸に、二人の女性の交わることのない人生が、一人の子どもを通じて静かに交差していく物語。子を望んでも恵まれなかった夫婦の苦悩と、中学生で望まぬ妊娠をし子を手放すことになった少女の転落する日々が、視点を変えながら丹念に描かれていく。読者レビューには「夜の底を歩くような物語だった」という言葉があるが、まさにそのとおりで、絶望の淵を歩み続けた者にだけ見える光が、ラストシーンで静かに差し込んでくる。河瀨直美監督も「このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある」と評した結末は、涙なしには読めない。産むこと、育てること、信じること。すべてが問い直される感動の長編。

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絶賛2,375
好評3,035
普通1,413
不評205
酷評59

TOTAL 7,087 reviews

12島はぼくらと

島はぼくらと

2013年刊行

8,433pt

TOTAL SCORE

瀬戸内海に浮かぶ小さな島、冴島。人口わずか三千人のこの島で育った四人の高校生は、島に高校がないため、毎朝フェリーで本土へと通う。卒業すれば、全員が島を出ていく。それが分かっていても、今この瞬間だけは一緒にいられる。ある日、島を訪れた謎の青年が「幻の脚本」の存在を口にしたことで、四人の青春は新たな色を帯び始める。淡い恋心、島を背負う大人たちの覚悟、Iターン者たちの後悔と再生。島ならではの濃密な人間関係の中で、子どもたちは大人の世界の複雑さと向き合っていく。この島の別れの言葉は「行ってきます」。旅立ちの日まで、笑顔でいよう。

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絶賛1,914
好評2,129
普通1,052
不評178
酷評33

TOTAL 5,306 reviews

13ツナグ - 想い人の心得

ツナグ - 想い人の心得

2019年刊行

8,386pt

TOTAL SCORE

死者との面会を一生に一度だけ叶える使者、ツナグ。祖母からその役目を受け継いで七年目、社会人となった歩美のもとに、今日も切実な想いを抱えた依頼人たちが訪れる。顔も知らない父親に会いたい若手俳優、歴史上の人物を指名するという異色の元教員、幼い娘を亡くした母親たち。そして何十年も断られ続けながら、それでも春ごとに依頼を繰り返す老紳士の姿が、静かに胸を打つ。「同じ時代に生きられるということは、尊い。」この言葉が示すように、再会の意味を問い続ける物語は、死と生の境界を越えて、縁とは何かという核心へと深く踏み込んでいく。

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絶賛1,805
好評1,720
普通671
不評53
酷評25

TOTAL 4,274 reviews

14この夏の星を見る

この夏の星を見る

2023年刊行

8,136pt

TOTAL SCORE

コロナ禍の2020年、茨城の天文部員・亜紗、渋谷の中学生・真宙、長崎五島列島の旅館の娘・円華という、本来なら交わるはずのなかった三人が、星を通じてつながっていく青春群像劇。部活の中止、差別と偏見、孤立など、大人以上に複雑な思いを抱えた中高生たちが、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」をきっかけにリモートで全国へと輪を広げていく。コロナを言い訳にするんじゃなく、バネにする中高生たちが眩しすぎると評され、哀しさ、優しさ、あたたかさ、人間の感情のすべてがここにある、と謳われる一冊。

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絶賛1,745
好評1,663
普通768
不評77
酷評27

TOTAL 4,280 reviews

15ハケンアニメ!

ハケンアニメ!

2014年刊行

7,866pt

TOTAL SCORE

アニメ業界の舞台裏を舞台にした、熱血お仕事小説です。伝説の天才監督・王子千晴と組むプロデューサー・有科香屋子、気鋭の新人監督・斎藤瞳、そして地方を拠点に活躍するアニメーター・並澤和奈という三人の女性を主人公に、同じクールで覇権を争う二つのアニメ作品を軸に物語が展開します。視点を変えながら綴られるオムニバス形式で、一度は嫌な印象を受けたキャラクターが別の章で全く違う顔を見せる構成が巧みです。読者からは、「まるでお祭りの準備のようでアドレナリンがドバドバ出る」「最終章で涙腺が崩壊してしまった」と絶賛の声が上がっており、アニメへの愛が疎外感を越えて人と人をつなぐ力へと昇華する様に、深い感動を覚える作品です。

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絶賛1,652
好評1,458
普通582
不評71
酷評29

TOTAL 3,792 reviews

16本日は大安なり

本日は大安なり

2011年刊行

7,704pt

TOTAL SCORE

結婚は、人生最高のエンターテインメント。大安吉日に予定された四組の結婚式を舞台に、それぞれの思惑と秘密が交錯する群像劇です。企みを胸に秘めた美人双子姉妹、プランナーを困らせるクレーマー新婦、大好きな叔母の結婚相手に不信感を抱く男の子、そして重大な事実を隠したまま式当日を迎えた新郎。爆弾を抱えながら人生の晴れ舞台に臨む彼らのヒリヒリした緊張感が、読む手を止めさせません。ほっこり系のヒューマンドラマかと思いきや、叙述トリックも織り交ぜたミステリー要素が随所に仕掛けられており、読み進めるうちに不穏な空気が漂い始めます。それでも最後は、全てが見事な着地を迎える逆どんでん返しに、思わず唸らされる一作です。

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絶賛1,413
好評2,380
普通1,203
不評131
酷評29

TOTAL 5,156 reviews

17噛みあわない会話と、ある過去について

噛みあわない会話と、ある過去について

2018年刊行

7,320pt

TOTAL SCORE

4つの短編で構成された、人間の心の裏側をえぐり出すイヤミス短編集。「やった方は覚えていなくても、やられた方は忘れない」という普遍的な真理を、日常のリアルな場面に落とし込んで描いている。無自覚な言動が積み重なり、やがて思いもよらない形で跳ね返ってくる様は、ホラー映画よりよほど怖いとも評される。過去の記憶とは、知らぬ間に都合よく書き換えられているもの。読者はページをめくるたびに自分自身の過去を振り返らずにはいられない。「あなたの過去は大丈夫?」という問いかけが、読了後にまったく別の重みを持って響いてくる。

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絶賛1,393
好評2,428
普通1,692
不評256
酷評58

TOTAL 5,827 reviews

18盲目的な恋と友情

盲目的な恋と友情

2014年刊行

6,991pt

TOTAL SCORE

タカラジェンヌを母に持つ美しい女子大生が、大学のオーケストラに迎えられた指揮者と恋に落ちる。彼の裏切りを知りながらも離れられない盲目的な恋愛を描いた「恋」の章と、その親友の視点から同じ歳月を追う「友情」の章。二つの視点が交差したとき、「お互いをかわいそうな人と見下し合う、盲目的な戦争」の真相が浮かび上がる。醜さゆえの劣等感、美しさゆえの傲慢さ、そして終わりなきマウントの取り合い。恋と友情、どちらが上かという問いに、作品は鬼気迫る筆致で答えを叩きつける。最終章には、読者をゾワリとさせる衝撃の結末が待ち受ける。

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絶賛1,317
好評2,353
普通1,901
不評304
酷評70

TOTAL 5,945 reviews

19琥珀の夏

琥珀の夏

2021年刊行

6,919pt

TOTAL SCORE

かつてカルト団体として批判を浴びた、ある組織の敷地跡から子どもの白骨が発見される。弁護士の法子は胸騒ぎを覚えた。30年前の夏、自分もそこにいたから。琥珀に閉じ込めたようなある夏の思い出を、少女の白骨が解き放つ。子どもたちは純粋に信じ、大人の理想に翻弄されながらも懸命に生きようとする。大人の善意が、やがて子どもを深く傷つける皮肉と恐ろしさ。大人になった今、あの頃の罪と友情にどう向き合うのか。過去と現在が交差しながら加速していく物語は、圧巻の最終章へと一気になだれ込む。

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絶賛1,260
好評1,936
普通1,423
不評174
酷評45

TOTAL 4,838 reviews

20闇祓

闇祓

2021年刊行

6,732pt

TOTAL SCORE

転校初日に「今日、家に行っていい?」と迫る不気味な男子。その言葉から始まる恐怖は、学校、団地、職場、小学校へと舞台を変えながら増殖していく。一見すると短編集のように見えるが、章をまたぐたびに物語は密かに絡み合い、最終章で全てが収束する長編構造が巧みだ。作品の核心にあるのは、幽霊でも怪物でもなく、「闇ハラスメント」と名付けられた、身近な悪意の連鎖。優しさや正論を装いながら相手の心に入り込み、じわじわと支配していくその恐ろしさは、「人は人の怖さを10倍にしたような怖さ」と読者に言わしめる。最終章で明かされる設定には思わずゾクッとする。

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絶賛1,237
好評1,872
普通1,116
不評194
酷評57

TOTAL 4,476 reviews

21東京會舘とわたし

東京會舘とわたし

2016年刊行

6,614pt

TOTAL SCORE

大正十一年、丸の内に誕生した社交の殿堂を舞台に、訪れる人々の数だけ紡がれる感動の物語。関東大震災、戦争、GHQによる接収という激動の歴史を見届けながら、結婚式、演奏会、授賞式など、人生の大切な瞬間に寄り添い続けた一つの建物の記憶が甦る。「訪れた人の数だけ、自分の東京會舘がきっとある」。海外ヴァイオリニストのコンサートに魅せられた青年、灯火管制下で式を挙げた花嫁、オリジナルカクテルを編み出すバーテンダー、そして直木賞受賞を知らされた作家。大正から平成まで、各時代を懸命に生きた人々の矜持と、建物への深い愛着が心に灯をともす、渾身の大河連作小説。

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絶賛1,143
好評1,475
普通718
不評88
酷評33

TOTAL 3,457 reviews

22オーダーメイド殺人クラブ

オーダーメイド殺人クラブ

2011年刊行

6,110pt

TOTAL SCORE

表面上は「リア充」グループに属しながら、内心では死や猟奇的なものへの強い関心を抱える中学二年生の少女アン。閉塞感と苛立ちが限界に達した彼女は、冴えない「昆虫系」男子の徳川に、自分自身を手にかけるよう依頼する。「厨二病で苦しむ自分を見たかのよう」と読者に言わしめるほど、思春期特有の肥大した自我と歪な美意識が痛々しくリアルに描かれる。やがて二人の極秘計画が進むなか、物語は予想外の方向へと転がり始め、最終章では「哀しさと安堵のごちゃ混ぜの気持ち」で涙が止まらないと語られるような温かな結末へとなだれ込む。直木賞作家が少年少女の心理の細部に丹念に寄り添った、痛くて眩しい青春小説。

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絶賛1,120
好評1,385
普通1,068
不評215
酷評38

TOTAL 3,826 reviews

23ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

2009年刊行

5,949pt

TOTAL SCORE

「事件を起こすなら、私のほうだと思ってた。」幼馴染みのチエミが母親を手にかけ、失踪して半年。フリーライターのみずほは、かつての約束を胸に彼女の行方を追い始める。地元に残った娘と、飛び出した娘。二人の間には、友情と嫉妬、比較と憧れが複雑に絡み合う女同士の生々しいしがらみがある。母と娘という逃げ場のない関係、地方という閉じた世界で積み重なった息苦しさ。ミステリーの構造を持ちながらも、本質は女性の生き方への深い問いかけだ。終始ピンと張り詰めた緊張感の中、タイトルの意味が明かされるラストで、すべての謎と感情が一点に収束する。

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絶賛947
好評2,178
普通2,043
不評392
酷評69

TOTAL 5,629 reviews

24
No image

パッとしない子

2017年刊行

5,810pt

TOTAL SCORE

国民的アイドルグループのメンバーが母校を訪れる。小学校の図工教師、松尾美穂はその日を高揚した気分で迎えた。しかし完璧な笑顔で現れた教え子は、意外にも話したいことがあると切り出す。「ほのぼのと始まって、だんだん心を抉られるような複雑な感情に導かれていきました」とあるレビューが語るように、物語は予想外の方向へと転がっていく。何気ない一言が人を深く傷つけること、そしてその自覚のなさがいかに恐ろしいか。教師と生徒、それぞれの記憶は全く異なる景色を映し出す。たった43ページという短さの中に、読む者の背筋をヒヤリとさせる緊張感が凝縮された一作。

絶賛1,562
好評1,304
普通986
不評330
酷評289

TOTAL 4,471 reviews

25家族シアター

家族シアター

2014年刊行

5,575pt

TOTAL SCORE

姉妹、親子、祖父と孫。家族のかたちをテーマにした七つの短編が収められた一冊。近くにいるからこそ傷つけ合い、遠くにいてもわかり合える。そんな矛盾を抱えた関係性が、それぞれの物語の中に鮮やかに描かれている。真面目な姉を疎ましく思う妹、趣味も性格も正反対の姉と弟、息子とうまく向き合えない父、孫娘との距離を縮められない祖父。読み進めるうちに、誰もが自分の家族の姿と重なる場面に気づくはずだ。喧嘩でマイナスに振り切れるほど激しい感情が、ある瞬間に反転する。家族だからこそ生まれる温かさの振れ幅が、この作品の最大の魅力といえる。心温まる結末に辿り着くまでには、紆余曲折、先の見えない道のりがある。読み終えたとき、あなたのわが家に帰りたくなる。

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絶賛772
好評1,394
普通1,095
不評121
酷評20

TOTAL 3,402 reviews

26ロードムービー

ロードムービー

2008年刊行

5,347pt

TOTAL SCORE

デビュー作から生まれたスピンオフ短編集。人気者のトシと、いじめられっ子のワタル。正反対のふたりが同じクラスになったことで、思いがけない友情が芽生える。しかしそれは同時に、クラスからの孤立という試練の始まりでもあった。相手を守っているつもりが、実は守られていた。そんな気づきが胸を打つ表題作をはじめ、思春期の人間関係のヒリヒリとした空気を丁寧に描いた五篇を収録。登場人物たちは過去と未来を行き来しながら、一本の線のように繋がっていく。最終章には思わず読み返したくなる仕掛けも。大丈夫、いつかきっと平気になるときが来る。そんな言葉が静かに、しかし確かに心に届く作品集。

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絶賛722
好評1,263
普通1,053
不評114
酷評19

TOTAL 3,171 reviews

27嘘つきジェンガ

嘘つきジェンガ

2022年刊行

5,300pt

TOTAL SCORE

詐欺をめぐる三つの物語を収めた短篇集。コロナ禍で孤立した大学生が闇バイトに引きずり込まれ、息子の受験を案じる母親が甘い誘いに乗ってしまい、憧れの漫画家になりきった女性がオンラインサロンを主宰し続ける。騙す側にも騙される側にも、それぞれ切実な理由がある。嘘はジェンガのように一片ずつ積み重なり、足元はどんどん不安定になっていく。まさに読んでいる方がドキドキしてしまう、崩れ寸前の緊張感が全編を貫く。ハッピーエンドとは言い切れないが、各話の結末にはたしかな救いと温かさが宿っており、読後感は不思議なほど爽やかだと多くの読者が語っている。

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絶賛620
好評1,636
普通1,299
不評152
酷評30

TOTAL 3,737 reviews

28青空と逃げる

青空と逃げる

2018年刊行

5,242pt

TOTAL SCORE

深夜の交通事故をきっかけに、舞台俳優の夫が失踪。残された妻の早苗と小学5年生の息子・力は、押し寄せるマスコミや芸能事務所の追及から逃れるように東京を飛び出す。高知の四万十、兵庫の家島、大分の別府、そして仙台へ。転々とする逃避行の中で、見知らぬ土地の人々が惜しみない温かさで親子を包んでいく。「背負うものがある者は強い」という言葉が早苗の背中を押し、力は逃げる先々での出会いと別れを重ねながら、みるみる逞しく成長していく。サスペンスでありながら読後感は爽やかで、旅情あふれる情景描写が旅行気分も味わわせてくれる。そして終盤、隠されていた真相が明かされるとき、タイトルに込められた意味が深く胸に響く。壊れてしまった家族がたどり着く場所とは。

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29鍵のない夢を見る

鍵のない夢を見る

2012年刊行

4,729pt

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直木賞を受賞した、五篇からなる短編集です。どこにでもある地方の町を舞台に、盗癖のある女性、婚期への焦りを抱える女性、暴力的な男性との逃避行に身を投じる女性、夢ばかり追う男に囚われた女性教師、そして育児に追い詰められた若い母親が描かれます。登場する女性たちはみな、ふとした瞬間に足を踏み外し、奈落へと転がり落ちていきます。共感できるようで、どこかズレている。そんな彼女たちの感情が、読者自身の心の奥底をじわりと照らし出します。感情の生々しさがじかに刺さってくる読後感は、決して心地よいものではありませんが、気づけば最後まで引き込まれています。鍵のない夢とは、閉塞した日常から抜け出せない、すべての女性たちへの静かな問いかけかもしれません。

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30サクラ咲く

サクラ咲く

2012年刊行

4,670pt

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図書館で本に挟まれた一枚の便せん、そこに書かれた「サクラチル」の一言。本好きで気弱な中学一年生のマチは、顔も名前も知らない相手との不思議な文通を通じて、少しずつ自分の言葉を取り戻していく。本作は中学・高校を舞台にした三編の短編集で、それぞれがゆるやかに繋がる仕掛けも見どころのひとつ。自意識アンテナが異常に敏感な中高生時代、自身を窮屈な存在に追いやるのも、そこから救い出してくれるのも「友」なのだという、まっすぐなメッセージが全編を貫いている。瑞々しくて苦くて甘い青春の輝きが詰まった一冊。

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31光待つ場所へ

光待つ場所へ

2010年刊行

4,393pt

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絵画、映像、ピアノ、嘘、合唱。それぞれ異なる才能と夢を抱えた若者たちが、初めての挫折と向き合う五編の短編集。自分こそが誰より鋭い感性を持つと信じてきた大学生が、ある日圧倒的な才能の前に打ちのめされる。嘘を纏うことで自らを演じ続けてきた女性が、本当の自分と向き合う瞬間。中学生たちが合唱コンクールを通じて成長していく姿。過去の辻村作品に登場したキャラクターたちが再び動き出す構成は、読者から「あの子に再会できて嬉しい」と称される。悔しい、恥ずかしい、息苦しい。それでも日々は続いていく。迷っても、苦しんでも、最後には顔を上げて前へ進む姿に、デビュー作から続く作家の世界観が凝縮された一冊。

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32はじめての

はじめての

2022年刊行

4,268pt

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「はじめて」は、いつも痛くて、少し優しい。直木賞作家4人が、「はじめて〇〇したときに読む物語」というテーマのもとに描いた4編の短編アンソロジーです。アンドロイドが紡ぐ切ない感情、吹奏楽部でつらい思いを抱えた少女が夜の海で不思議な出会いを果たす幻想的な一夜、並行世界を舞台にした緊迫の物語、そしてタイムトラベルを駆使した純粋でまっすぐな片思いと、それぞれがまったく異なる色彩を放ちながら、共通して胸の奥に眠っていた記憶を呼び起こすような読書体験を届けてくれます。小説を音楽にするユニットYOASOBIとの異色のコラボレーションによって生まれた作品集であり、各編に対応する楽曲と合わせて楽しむことで、物語の世界がさらに深く広がります。

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33
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ナベちゃんのヨメ

2017年刊行

3,673pt

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大学時代のコーラス部の仲間、ナベちゃんから結婚式の招待メールが届く。誰にでも親切で、女子部員たちの頼みを嫌な顔ひとつせず引き受けてきた、あのナベちゃんが。しかし噂によると、そのお相手が「ヤバいらしい」。女子たちの間で広がるざわめきと好奇心。けれど語り手の佐和は、ある一つの痛烈な問いに突き当たる。都合よく使い続けた自分たちが、ナベちゃんのヨメを批判できるのか、と。誰かに必要とされたいという、ごく普通の人間の切実な願いを、鋭くも繊細な筆致でえぐり出す中編小説。読後にじわりと残るのは、爽快感ではなく、自分自身への小さな問いかけだ。

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34太陽の坐る場所

太陽の坐る場所

2008年刊行

3,326pt

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高校を卒業して10年。クラス会に集まった男女が話題にするのは、かつての同級生が人気女優として活躍しているという事実。彼女をクラス会に呼び出そうと画策する常連メンバーたちだが、その試みは思春期の教室に渦巻いていた悪意や嫉妬、かさぶたのように固まった痛みを、じわじわと剥がしていく。語り手が変わるたびに、同じ過去がまるで別の様相を呈して立ち現れ、読者もまた巧妙なミスリードの罠へと引き込まれていく。スクールカーストの頂点に君臨した「太陽」への羨望と憎悪が渦巻く一方で、過去に囚われた者たちが新たな価値を見出す瞬間も丁寧に描かれる。悪意と嫉妬と羨望がごうごうと渦巻く心理サスペンスでありながら、人間のリアルな葛藤と解放を鮮やかに照らし出す一作。

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35図書室で暮らしたい

図書室で暮らしたい

2015年刊行

3,294pt

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本への愛、漫画、アニメ、音楽、映画、そして美味しいものまで、好きなものが多すぎてごめんなさいと言いたくなるほど、著者の情熱が詰まったエッセイ集。デビュー前から作家になるまで夢中で追いかけてきたカルチャーへの愛が、宝石のようにキラキラした文章で綴られている。育児や日常の出来事、直木賞受賞時の裏話まで、著者の人となりがひしひしと伝わる構成は、既存ファンには特別な一冊。大人の勧める本ではなく、自分が好きなものを書き続けるという信念が、数々の名作を生んだのだと納得できる内容だ。特別収録の短編も含め、著者の世界がもっと好きになること間違いなしの一冊。

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36あなたの言葉を

あなたの言葉を

2024年刊行

2,937pt

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子どもたちへ向けて書かれたエッセイ集でありながら、大人の読者からも「グサグサ刺さる」と多くの共感を集めた作品です。小学生新聞への連載をまとめたもので、学校生活や友人関係、読むこと、書くことなど、身近なテーマを通じて「自分の言葉を持つことの大切さ」を語りかけます。上から目線ではなく、かつて子どもだった自身の体験をもとに、子どもと同じ目線に立って共に考えるスタンスが全篇を貫いています。読者からは「子どもの頃に出会いたかった」という声が相次ぎ、同時に「そうやって考えて育つことの尊さを優しく伝えてくれる」との評価も寄せられています。のみ込んだひと言、うまく伝えられなかった気持ち、そうした言葉の欠片が、いつかあなた自身を助けてくれると、静かに、しかし確かに語りかける一冊です。

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37V.T.R.

V.T.R.

2010年刊行

2,843pt

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長編ミステリー「スロウハイツの神様」の世界に実在する、カリスマ小説家チヨダ・コーキのデビュー作という驚きの設定で生まれた一冊。国家から殺人を公認されたマーダーという特殊な稼業を持つティーのもとに、三年前に別れた恋人アールから一本の謎めいた電話が入る。彼女はなぜ、危険を顧みず敵対組織と衝突しながら、自らを追い詰めていくのか。ティーはその足跡を仲間たちへ聞き歩きながら、ディストピア的な世界を駆け抜ける。「どいつもこいつも純で優しくて痛々しい。」読者の言葉が示すとおり、荒削りな熱量の中に、最後まで読み手の心を引き剥がせない純度の高い愛の物語が宿っている。最終章にはナイフのようなキレ味のどんでん返しも用意されている。

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38クローバーナイト

クローバーナイト

2016年刊行

2,685pt

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共働きで二人の幼い子どもを育てる鶴峯家を舞台に、パパ目線で描かれる子育て奮闘記。保活の熾烈な争い、過熱するお受験事情、何百万円もかかる子どものお誕生会など、現代の育児をめぐる難題が次々と押し寄せる。読者からは「こりゃ少子化も進むわな」という声もあがるほど、リアルで息苦しい現実が描かれている。しかしこの作品は単なる育児エッセイではなく、各エピソードに巧みに仕掛けられた謎と伏線が鮮やかに回収されていく日常ミステリーでもある。家族という小さなクローバーを守る騎士として、右往左往しながらも誠実に向き合う夫の姿が胸を打つ。子育て世代への共感と、夫婦の絆の美しさが染み渡る一冊。

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39レジェンドアニメ!

レジェンドアニメ!

2022年刊行

2,522pt

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「ハケンアニメ!」で描ききれなかった、アニメに生きる人々の物語が、6つの短編として綴られるスピンオフ作品集。アニメ監督、プロデューサー、音響監督、フィギュア造形師、そしてアニメを心待ちにする小学生まで、それぞれが情熱と誇りを胸に、アニメの世界で働く姿が丁寧に描かれる。熱意、憧れ、感謝、嫉妬、そして「愛を言い訳にしない」プロたちの仕事哲学。解説では「読者の皆様、楽屋裏へようこそ」と表現されたアニメ業界の舞台裏が、余すところなく体感できる。前作キャラクターたちの若き日の姿や、その後の活躍も描かれ、本編の世界に奥行きを与える一冊。

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40ふちなしのかがみ

ふちなしのかがみ

2009年刊行

2,516pt

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5つの短編で綴られた、懐かしくも背筋がゾクッとする怪談集。学校の踊り場に棲む花子さん、コックリさん、禁断の鏡占いなど、子どもの頃に誰もが一度は触れた「いけないもの」たちが、鮮やかに甦る。語り手を安易に信用してはならない。現実と虚構の境界が徐々にぼやけ、気づかぬうちに架空の世界へ迷い込んでしまうような感覚が、全編を通じて読者を包み込む。表題作では、香奈子の正体と彼女をめぐる伏線が最後に鮮やかに回収される構成が見事。一方で、スクールカーストや子どもの孤独を描いた切ない一編も収録されており、ホラーだけに留まらない幅広い読み応えがある。デビュー作から一貫する、青春の痛みと闇を描く筆致が、ここでも遺憾なく発揮されている。

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41きのうの影踏み

きのうの影踏み

2015年刊行

2,350pt

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日常のすぐ隣に、決して覗いてはいけない隙間がある。全13篇を収録したホラー短編集で、子どもの頃に流行った嫌いな人を消せるおまじない、作家のもとに届く謎の手紙、夜中に一人起き上がる赤ちゃん、ナマハゲ文化が息づく土地で起きた戦慄の体験など、身近な日常がほんの少しずれた先に潜む怪異が次々と描かれる。著者自身と思わせる語り口がフィクションと現実の境界をじわじわと溶かし、読む者を不安な感覚へと引き込む。恐怖だけでなく、命を失った娘と母をつなぐ切なく温かな物語も収められており、朝霧カフカ氏の言葉を借りれば、これはまさに日常に潜む「やぶれめ」にまつわる物語集である。

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42水底フェスタ

水底フェスタ

2011年刊行

2,346pt

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湖畔に佇む過疎の山村。毎年夏に大型ロックフェスが開催されるその村で、閉塞感に苛立つ高校生の広海は、村出身の有名モデル・由貴美と出会う。年上の謎めいた魅力に囚われた広海は、彼女から「村への復讐に協力してほしい」と告げられ、その企みに深く引き込まれてゆく。しかし由貴美が真に求めるものは別にあった。村ぐるみで守られてきた因習と隠蔽、善人と怪物がパタパタとひっくり返っていく人物像が、読む者の息を詰まらせる。「まともな人間がほとんどいない」「ホラーではないのにホラーを感じた」と読者が口を揃えるほど、田舎社会の暗部が生々しく描かれた一作。フェスの夜に起きた取り返しのつかない出来事が、やがてすべての秘密を水底から浮かび上がらせる。

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43小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記

小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記

2019年刊行

1,990pt

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月面探査機が捉えた謎の白い影。のび太は「月のウサギだ」と主張するが、クラスメートに笑われてしまう。そこでドラえもんのひみつ道具、異説クラブメンバーズバッジを使い、月の裏側にウサギ王国を作ることに。そんな折、クラスに謎めいた転校生ルカが現れる。月へ向かったのび太たちはエスパルと呼ばれる不思議な力を持つ一族と出会うが、彼らを狙う赤い宇宙船が迫りくる。直木賞作家によるドラえもん愛が随所に溢れ、「ただ友達っていうそれだけで、助けていい理由になるんだ」というのび太の純粋な言葉が胸を打つ。想像力は未来であり、思いやりだというメッセージが、冒険と友情の物語を通じて鮮やかに描かれる。

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TOTAL 546 reviews

44時の罠

時の罠

2014年刊行

1,806pt

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直木賞作家をはじめとする4人の人気作家が、「時」をテーマに競作した文庫オリジナルの短編アンソロジーです。小学校時代に埋めたタイムカプセルが、父と息子の関係を静かに解きほぐす人間ドラマ。配置換えになった縁結びの神様がユーモアたっぷりに奮闘する物語。山と人類が交差する、悠久の時を超えたスケール壮大な年代記。そして、過去のすれ違いと誤解が時を経てゆっくりとほどかれていく、緊張感と温かさが共存する物語。まさに「四者四様のらしさを堪能できる」と読者を唸らせる、宝石箱のような一冊です。

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TOTAL 979 reviews

45神様の罠

神様の罠

2021年刊行

1,663pt

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ミステリー界を牽引する6人の作家が集結した、豪華すぎるアンソロジー。余命わずかな夫と妻の愛の物語、雪山での遭難と不可解な死の謎、コロナ禍を舞台にした将棋ファンの夫への疑惑、過去の罪をめぐる倒叙ミステリー、推理研とパズル研の頭脳戦、そして孤独な大学生を狙うロマンス詐欺まで、6者6様の「罠」が張り巡らされている。特に「夫の余命」は二度読み必至と評され、「所々感じた小骨ほどの違和感はこういうことだったのか」とストンと腑に落ちる構成が秀逸。辿り着く先は、人間の行いによる帰結か、神様の差配によるものか。驚きと切なさが溢れる珠玉の一冊。

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46すきって いわなきゃ だめ?

すきって いわなきゃ だめ?

2019年刊行

1,628pt

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小学校を舞台に、クラスで「好き」と告白することが流行している中、ある子が同級生のこうくんへの気持ちを胸に秘めながら、自分の感情に向き合っていく絵本作品です。漫画家の今日マチ子が手がけるイラストは、語り手の視点から世界を映し続け、最後の場面で初めて視点が切り替わる構成が巧みに仕掛けられています。ラストの一文で、読者は静かに、しかし確実に「そうだったのか」という衝撃を受けることになります。好きという気持ちに名前をつけること、言葉にすることの意味を問いかけ、嬉しくて、苦しくて、切ないその感情すべてが「すき」である、と優しく肯定してくれる一冊です。

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47Another side of 辻村深月

Another side of 辻村深月

2023年刊行

1,544pt

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書き下ろし短編、宮部みゆき・伊坂幸太郎との特別対談、全作品解説インタビューを収録した、ファン必読の永久保存版ガイドブックです。メフィスト賞受賞のデビュー作から本屋大賞受賞の代表作まで、著者自身が全作品を解説するインタビューは、まさに創作の自分史とも呼べる内容です。読者レビューでは「辻村深月・愛がみっちり詰め込まれている」と評され、対談・エッセイ・論考・100問100答など多彩な切り口から、作家・辻村深月の人物像が浮かび上がります。読み込むほどに、唯一無二の物語を生み出す裏側が見えてくる、ファンにとって手元に置きたい宝物の一冊です。

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TOTAL 283 reviews

48時ひらく

時ひらく

2024年刊行

1,488pt

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創業350年を誇る老舗百貨店を舞台に、個性豊かな6人の作家がそれぞれの視点で紡ぐ短編アンソロジー。エレベーターが誘う家族の記憶、ライオン像にまつわる不思議な言い伝え、継母との買い物中に起きる小さな奇跡、命を宿した品々の密やかな会話、時代を超えて繋がる女性たちの縁、そして命が重なり合う土産の謎。ファンタジー、ヒューマンドラマ、まさかのガリレオシリーズ短編まで、各作家の個性が存分に発揮された全体的にレベルの高い一冊。歴史ある建物が持つ非日常の空気が、読む者を物語の深みへと自然に引き込んでいく。

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絶賛92
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TOTAL 997 reviews

49ネオカル日和

ネオカル日和

2011年刊行

1,466pt

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ドラえもんへの溢れんばかりの愛、図書室で過ごした放課後の記憶、能からバラエティ番組まで、作家の「好き」を全力で詰め込んだ一冊。日本のネオカルチャーを自ら取材して歩いたルポエッセイを軸に、本・映画・食・日常のあれこれを綴ったコラムが続き、さらにショートショートと短編小説四本まで収録した、読者が口を揃えて「贅沢すぎる玉手箱」と表現する構成になっている。好きなものを語る熱量が並外れており、その沼に入り込まずにはいられない引力がある。作家もまた、熱烈な読者であり、物語の受け手であることを実感させてくれる作品集。

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TOTAL 630 reviews

50
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ユーレイ

2022年刊行

1,399pt

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家出をして海沿いの駅に降り立った主人公が、夜の広場で不思議な女の子に声をかけられるところから物語は始まります。10代特有の、誰にも言えない悩みや探り合いの温度感、制限だらけの日々の中で誰かに背中を押してもらわないと選べなかった答え。そんな記憶を呼び起こすような夜が、静寂と緊張感とともに描かれます。「しけった花火に火がついた瞬間のように」、人生の中でひときわ輝く一夜を経て、主人公は前の自分にはもう戻れなくなります。読みやすい短編ながら、ラストには辻村作品らしいどきどきも待ち受けており、読む前と読んだ後で何かが変わる一作です。

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