蜩ノ記
2011年刊行
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蜩ノ記
豊後羽根藩の檀野庄三郎は、不始末により切腹を言い渡されるところを、家老の計らいで向山村に幽閉中の元郡奉行、戸田秋谷の元へ遣わされます。秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の罪で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていました。庄三郎は、秋谷の編纂補助と監視、そして密通事件の真相を探るという使命を負います。しかし、秋谷の清廉さに触れるうちに、庄三郎は彼の無実を信じるようになります。物語は、武士としての生き方と死に様、そして家族や村人との絆を通して、人間の尊厳を描き出します。読者は、武士道とは何か、人としてどう生きるべきか、という普遍的な問いに深く考えさせられるでしょう。作中では、藩内の権力争いや過去の事件の真相解明も絡み合い、物語に深みを与えています。特に、秋谷の息子郁太郎の友である源吉のエピソードは、幼いながらも道理をわきまえた彼の生き様を通して、読者の心を強く打ちます。静謐な筆致で描かれた本作は、読後、清々しい感動を与えてくれるでしょう。
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