正欲
2021年刊行
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正欲
「自分が想像できる多様性だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな。」この一節が、物語全体を貫く鋭い問いかけとなっている。息子が不登校になった検事、初めての恋に気づく女子大生、ある秘密を抱える契約社員。接点のない三人の人生が、一つの事故死をきっかけに静かに交差し始める。その繋がりは、多様性を尊重する時代にとって、ひどく不都合なものだった。マジョリティが当然のように使う多様性という言葉は、本当に全ての人を包んでいるのか。想像力の届かない場所で息を潜めて生きる人々の孤独と、それでも誰かと繋がろうとする切実な意志が、重層的な構成で描かれる。読者レビューには「読む前の自分には戻れない」「分かったつもりでいたところをハンマーで殴られた」という声が並ぶ。共感ではなく、自らの想像力の限界を突きつけてくる、一読では消化しきれない問題作。
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