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DATA-DRIVEN NOVEL RANKING

朝井リョウ

独自に収集した評価データで選ぶ、"本当に愛されている小説"のランキング

PROFILE

岐阜県出身の小説家・ラジオパーソナリティ。早稲田大学在学中の2009年、青春小説「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。卒業後は会社員として働きながら執筆を続け、2013年に「何者」で第148回直木三十五賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては当時最年少となった。就活や青春、人間の欲望や多様性など、同時代を生きる人々の内面を鋭く描く作風が特徴で、「正欲」で第34回柴田錬三郎賞、「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞なども受賞している。2026年には「イン・ザ・メガチャーチ」で第23回本屋大賞を受賞し、直木賞との二冠を達成。英語圏の文芸誌「Granta」が選ぶ若手日本人作家にも選出されるなど、国際的な注目も集める。

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ランキング

1正欲

正欲

2021年刊行

18,427pt

TOTAL SCORE

「自分が想像できる多様性だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな。」この一節が、物語全体を貫く鋭い問いかけとなっている。息子が不登校になった検事、初めての恋に気づく女子大生、ある秘密を抱える契約社員。接点のない三人の人生が、一つの事故死をきっかけに静かに交差し始める。その繋がりは、多様性を尊重する時代にとって、ひどく不都合なものだった。マジョリティが当然のように使う多様性という言葉は、本当に全ての人を包んでいるのか。想像力の届かない場所で息を潜めて生きる人々の孤独と、それでも誰かと繋がろうとする切実な意志が、重層的な構成で描かれる。読者レビューには「読む前の自分には戻れない」「分かったつもりでいたところをハンマーで殴られた」という声が並ぶ。共感ではなく、自らの想像力の限界を突きつけてくる、一読では消化しきれない問題作。

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絶賛10,062
好評7,640
普通3,806
不評867
酷評389

TOTAL 22,764 reviews

2イン・ザ・メガチャーチ

イン・ザ・メガチャーチ

2025年刊行

14,932pt

TOTAL SCORE

沈みゆく列島で、界隈は沸騰する。アイドルグループの運営に参画することになった中年男、心の拠り所を求めてのめり込んでいく大学生、推しの俳優をめぐる報道で状況が一変する女性。世代も立場も異なる三者の視点が交差しながら、ファンダム経済の内側と外側が鮮やかに描き出される。仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側。それぞれの孤独と熱量が絡み合うにつれ、人の心を動かす物語がいかに設計され、いかに機能するかが浮かび上がってくる。推し活にとどまらず、宗教、陰謀論、現代の生きづらさまでを射程に収めた構造は、読み手を高解像度の鏡の前に立たせる。自分の意思で推しているつもりでも、その意思はあらかじめ動きやすい形に整えられているのかもしれない。仕組みが見えたからといって、好きが偽物になるわけではない。ならば、その熱をどう扱い、どう距離を取り、どう好きでいるのか。その問いは最後まで読者に返されたままだ。

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絶賛6,198
好評4,039
普通1,592
不評304
酷評124

TOTAL 12,257 reviews

3何者

何者

2012年刊行

12,310pt

TOTAL SCORE

就職活動という、人生の一大イベントを舞台に、5人の大学生の本音と自意識をリアルに描いた直木賞受賞作。主人公の拓人は、同居人・光太郎の引退ライブをきっかけに、瑞月、理香、隆良との就活グループを形成する。情報交換を重ねる中で、SNSや面接の言葉の裏に潜む、それぞれの本音が少しずつ浮かび上がっていく。「発信している自分」と「本当の自分」のずれ、他者を冷静に観察し分析しながら、実は一番自分自身が見えていない姿。読者からは「自分の言動を思わず振り返ってしまう」「胸がゾワゾワする」といった声が多く寄せられている。そして終盤、衝撃のどんでん返しが静かに、しかし確実に牙をむく。就活生に限らず、誰の心にも潜む承認欲求や嫉妬、自尊心を容赦なく炙り出す本作は、デビュー作から注目を集めた著者が放つ、人間の本質に迫る一冊。

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絶賛4,501
好評5,730
普通3,491
不評779
酷評278

TOTAL 14,779 reviews

4時をかけるゆとり(改題: 学生時代にやらなくてもいい20のこと)

時をかけるゆとり(改題: 学生時代にやらなくてもいい20のこと)

2012年刊行

11,738pt

TOTAL SCORE

著者初のエッセイ集。戦後最年少で直木賞を受賞した作家の、華やかなイメージの裏に隠された、驚くほど残念な日常が全23編に渡って綴られている。カットモデルに挑戦しては失意を味わい、東京から京都まで自転車で爆走すれば尻の痛みだけが残る。早稲田大学の他学部授業にチンプンカンプンのまま半年間通い続け、100キロハイクでは死にそうになりながらもなぜか完走してしまう。苦しいならなぜ途中でやめなかったのか、という読者の心の声にも、著者は遠くから自分を眺めるもうひとりの自分で鋭くツッコミを入れる。ゆとり世代がゆとり世代を観察した視点は、切なさとおかしみが絶妙に炸裂し、電車の中では読めないほどの爆笑必至の内容となっている。さらに社会人編として、直木賞受賞後の浮かれた日々と痔との格闘まで加筆収録。出版社自ら「圧倒的に無意味な読書体験」と銘打つ、全力でバカバカしいことに立ち向かう著者の姿が詰まった一冊。

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絶賛3,730
好評2,668
普通1,103
不評166
酷評46

TOTAL 7,713 reviews

5風と共にゆとりぬ

風と共にゆとりぬ

2017年刊行

9,209pt

TOTAL SCORE

桐島、部活やめるってよでデビューし、何者で戦後最年少の直木賞を受賞した著者が放つ、ゆとりシリーズ第二弾のエッセイ集です。自ら豪語するとおり、読んで得るものは特になし、ひたすら楽しいだけの読書体験が500枚超にわたって詰め込まれています。レンタル彼氏との騙し合い対決、担当税理士の結婚式で炸裂させた渾身の余興、初ホームステイでのマル秘パンデミック勃発など、日常のあらゆる場面を爆笑エピソードへと昇華させる筆力は圧巻です。日本経済新聞に連載されたコラムでは一転、言葉と視点の力について深く静かに語られ、その高低差に著者の真の実力を見せつけられます。そして最終章、壮絶な痔瘻手術の全貌を綴った肛門記では、公共の場での読書に注意が必要なほどの笑いが待ち受けています。一冊で百回笑える腹筋崩壊エッセイという評に偽りなし、くだらなさと文才が奇跡的に共存する一冊です。

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絶賛2,242
好評1,474
普通504
不評56
酷評19

TOTAL 4,295 reviews

6生殖記

生殖記

2024年刊行

8,446pt

TOTAL SCORE

家電メーカーの総務部で働くアラサー会社員、尚成。彼は毎日をただ消費するように生きている。そんな彼の日常を語るのは、なんと彼の身体に宿るある存在。読み始めた瞬間、その設定に誰もが度肝を抜かれるはずだ。語り手は生物学的な視点から、ヒトという種が抱える拡大・発展・成長への欲求を、時にコミカルに、時に鋭く風刺していく。性的マイノリティである尚成が、共同体に擬態しながら生き延びる姿を通して、誰もがうっすらと感じていた違和感の正体が、これでもかと言語化されていく。読者から寄せられた「私たちがふだん頭の片隅でほんのりと感じている違和感、その正体をゴリゴリに言語化してくれている」という声が、この作品の本質を見事に言い当てている。難解になりがちなテーマを、語り手の軽妙な口調が絶妙に中和しており、ページをめくる手が止まらない。そして最終章、静かな希望とともに訪れる帰結は、読者それぞれの胸に異なる余韻を残すだろう。

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絶賛2,469
好評2,359
普通1,684
不評434
酷評211

TOTAL 7,157 reviews

7そして誰もゆとらなくなった

そして誰もゆとらなくなった

2022年刊行

7,800pt

TOTAL SCORE

直木賞作家が放つ、笑いと共感の抱腹絶倒エッセイシリーズ、待望の完結編。腹痛との壮絶な戦いに始まり、有料の催眠術体験、十年ぶりに挑んだダンスレッスンでの屈辱、全力を注ぎすぎた結婚式余興、南米と北米を巡る珍道中まで、全二十編を収録。読者からは「公共の場で読むのが危険なほど面白い」「腹筋にダイレクトアタックをしてくる」といった声が続出している。一生懸命生きているからこそ生まれてしまう、どこか哀愁漂う滑稽さが全編を貫いており、著者自身が語る「おもしろいとは、真剣味と背中合わせの滑稽さである」という言葉が、そのまま作品の核心を突いている。小説では決して見せない、素のままの人間味と豊かな語彙が織りなす独特のテンポは、さくらももこのエッセイへの深いリスペクトも感じさせる。頭を空っぽにして、ただ純粋に笑いたい夜に寄り添ってくれる一冊。

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絶賛1,712
好評1,201
普通507
不評74
酷評42

TOTAL 3,536 reviews

8スター

スター

2020年刊行

6,573pt

TOTAL SCORE

映画祭でグランプリを受賞した二人の若き映像作家が、卒業後にまったく異なる道を歩む。一人は名監督に師事し、伝統的な映画制作の世界へ。もう一人はYouTubeという新しいプラットフォームで映像を発信し始める。「細部に神が宿る」と丁寧な作品づくりにこだわる尚吾と、自分の感性を最優先に動く紘。受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応。作品の質や価値は、いったい何をもって測られるのか。誰もが発信者になれる時代に、プロとアマチュアの境界線は消え、かつての国民的スターはもはや存在しないとも言われる。二人はそれぞれの壁にぶつかり、もがきながら、自分だけの物差しを探し続ける。映像の世界を舞台にしながら、その問いはあらゆる表現者、そして受け手にも静かに突き刺さる。「本当は比べられないものを比べ続けていたら、いつか、本当は切り捨てちゃいけないものを切り捨てちゃいそうな気がする。」現代社会のモヤモヤを異常なほど高い精度で言語化した、全方位に刺さる長編小説。

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絶賛1,270
好評1,245
普通776
不評134
酷評42

TOTAL 3,467 reviews

9桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

2010年刊行

6,560pt

TOTAL SCORE

田舎の県立高校で、バレー部の頼れるキャプテンが突然部活を去った。その理由は誰も知らない。ただその小さな事実が、教室に、グラウンドに、静かな波紋を広げていく。バレー部の補欠、ブラスバンド部員、映画部員、ソフトボール部員、野球部のユーレイ部員。部活も校内での立場も異なる五人が、それぞれの視点で描かれるオムニバス形式の青春群像劇だ。スクールカーストの上位に立ちながら漠然とした不安を抱える者、地味だと嘲笑されながらも夢中になれるものを持つ者、周囲に同調しながら心の奥に痛みをしまい込む者。タイトルにもある桐島は、本編にほとんど姿を見せない。しかしその不在こそが、登場人物それぞれの内面をあぶり出す仕掛けになっている。読者レビューには、高校時代のカースト意識や息苦しさを鮮明に思い出させる、あのモヤっとした気持ちをそのまま言語化してくれているという声が多い。早稲田大学在学中に執筆されたデビュー作にして、第二十二回小説すばる新人賞を受賞した作品。瑞々しくも冷徹な観察眼で切り取られた、十七歳のリアルな一断面がここに刻まれている。

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絶賛1,595
好評3,180
普通3,592
不評996
酷評287

TOTAL 9,650 reviews

10死にがいを求めて生きているの

死にがいを求めて生きているの

2019年刊行

6,091pt

TOTAL SCORE

植物状態のまま病院で眠る青年・智也と、その傍らに献身的に寄り添い続ける友人・雄介。二人の間に横たわる歪な真実とは何か。物語は、日常に倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、承認欲求に囚われた大学生、時代に取り残された中年テレビディレクターなど、交わるはずのない人々の視点を通じて、じわりじわりと核心へと近づいていく。「ナンバーワンよりオンリーワン」と囁かれ続けた平成という時代。しかしそれは、見知らぬ誰かによる順位付けの苦痛の代わりに、自ら自分自身に劣っていると言い聞かせる哀しみが続くという意味でもあった。誰とも比べなくていい、そう言われた世界はなぜこんなにも苦しいのか。凄まじいほどの観察眼で、人の心の奥底のヒダの細部まで丸裸にしていく筆致は、読む者の全身を震わせる。自滅へとひた走る若者たちが抱えた見えない傷と祈りに、あなた自身の心もきっと揺さぶられる一冊。

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絶賛1,134
好評1,342
普通984
不評195
酷評54

TOTAL 3,709 reviews

11どうしても生きてる

どうしても生きてる

2019年刊行

5,724pt

TOTAL SCORE

死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。全六編からなる短編集は、鬱屈を抱えながら生き抜く人々を容赦なく描き出す。家庭、仕事、性別、過去、そして自分ではどうにもならない運命。登場人物たちは前に進みたいわけではなく、ただ止まれないから歩き続ける。読者からは、「どのお話にも自分がいるようでしんどいけれど、とてもよかった」という声も上がるほど、リアルな痛みが全編に漂う。しかし、どの話にもほんのわずかな光が灯されており、読後は不思議と息ができるような感覚を覚える。「生きざるを得なかった」という実感が、静かに、しかし確かに胸に残る一冊。

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絶賛1,063
好評1,162
普通899
不評194
酷評63

TOTAL 3,381 reviews

12世にも奇妙な君物語

世にも奇妙な君物語

2015年刊行

5,378pt

TOTAL SCORE

異様な世界観、複数の伏線、先の読めない展開。テレビドラマ「世にも奇妙な物語」への深いリスペクトから生まれた、全5編の短編集です。シェアハウスに潜む秘密を追うライター、コミュニケーション能力が法律で評価される社会に生きる女性、モンスターペアレントに翻弄される幼稚園教諭など、日常の延長線上にありながらどこかズレた世界が描かれます。各話には現代社会への鋭い風刺が織り込まれており、読み進めるうちに不穏な空気が静かに積み重なっていきます。そして全ての話が最終章へと収束したとき、これまでの物語が全く違う顔を見せます。ミステリ書評家・村上貴史氏をして「やるせない衝撃に圧倒される」と言わしめた、巧妙な読者コントロールと最後の一撃。読み終えた後、背筋にじわりと冷たいものが走る一冊です。

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絶賛904
好評1,710
普通1,649
不評376
酷評85

TOTAL 4,724 reviews

13星やどりの声

星やどりの声

2011年刊行

5,348pt

TOTAL SCORE

海の見える小さな町で、純喫茶を営む母と三男三女の大家族を描いた、著者のデビュー後間もない頃に書き上げた作品です。亡き父が遺した喫茶店と、その香り漂うビーフシチュー、そして星型の天窓。六人の兄弟姉妹はそれぞれ一章ずつ主役を務め、父への想いと自らの葛藤を胸に抱えながら日々を生きています。家族はみんないい人で、意地悪な人は一人もいない、という温かな世界観の中にも、各々が背負う重さはリアルに描かれています。登場人物たちの名前に隠された仕掛け、そして父が店に込めた深い想いが少しずつ明かされるにつれ、読者は自然と涙を誘われます。湯気の立ち上るビーフシチューの甘い香りが行間から匂い立ってくるような、心があたたかくなる物語です。

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絶賛799
好評977
普通627
不評89
酷評24

TOTAL 2,516 reviews

14もういちど生まれる

もういちど生まれる

2011年刊行

5,136pt

TOTAL SCORE

いちばん自由で、いちばん窮屈な年齢がある。どこへでも行けて、何にでもなれるはずなのに、その自由さが逆に自分をしばりつける、19歳から20歳という不思議な季節のことだ。彼氏がいるのに別の人からも想われる汐梨、バイトを次々と替える翔多、絵を通して壊れた家族と向き合う新、美人の姉に激しいコンプレックスを抱く梢、才能の限界を感じながらもダンスを続ける遥。5人の若者が、恥ずかしいプライドや焦りを抱えながら、それぞれの最初の一歩を踏み出そうともがく姿を描く連作短編集。各章の登場人物が絶妙に絡み合い、同じ場面が違う視点で輝き直す構成が秀逸で、読者のなかで「あの頃の自分」と静かに響き合う。

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絶賛759
好評1,264
普通1,011
不評180
酷評47

TOTAL 3,261 reviews

15ままならないから私とあなた

ままならないから私とあなた

2016年刊行

4,732pt

TOTAL SCORE

二篇から成るこの作品は、いずれも「正しいとされる価値観とは何か」という問いを読者に突きつける。一篇目では、結婚式で出会った女性が「レンタル友達」として参列していたことが明かされ、人間関係の本物とは何かという問いが浮かび上がる。二篇目では、幼い頃から親友だった薫と雪子が、成長とともに価値観の溝を深めていく。効率と合理性を信奉する薫と、無駄なものにこそ温かみが宿ると信じる雪子。終盤の二人の激論は読みごたえ十分で、どちらの言い分にも一理あると感じさせられる。自分に都合よい部分だけ受け入れ、脅威には人間のあたたかみを盾にして逃げる、そんな傲慢さを誰もが持っているのではないか。ままならないことがあるから、私とあなたは別々の人間でいられる。その一文が、読後に深く刺さる二篇だ。

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絶賛611
好評981
普通703
不評120
酷評17

TOTAL 2,432 reviews

16少女は卒業しない

少女は卒業しない

2012年刊行

4,370pt

TOTAL SCORE

取り壊しが決まった地方の高校、最後の卒業式のたった一日を舞台に、7人の少女それぞれの「別れ」を描く連作短編集。恋愛、友情、後悔、希望、そして言えなかった想い。全編が同じ校舎、同じ一日を共有しながら、読み進めるごとに登場人物たちの繋がりが鮮明になっていく構成が見事です。送辞の場で愛の告白を盛り込む破天荒な在校生代表や、バスケ部カップルの切ない別れなど、甘さの中にほろ苦さが滲む話が並びます。「学生生活を書かせたら右に出る者はいない」と評されるほどの瑞々しい筆致で、読む者を自分の高校時代へと引き戻します。最終話には不穏な予感とともに静かな衝撃が待ち受け、後半にかけて物語はより深く切なく響いてきます。

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絶賛536
好評892
普通680
不評109
酷評29

TOTAL 2,246 reviews

17何様

何様

2016年刊行

4,194pt

TOTAL SCORE

生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作「何者」の登場人物たちが、それぞれ主役として語る6編の短編集。光太郎の初恋の相手は誰なのか、理香と隆良はどのように出会ったのか、社会人になったサワ先輩の姿とは。読者からは「何者よりグサグサきた」との声もあり、就活という枠を超えた人生の現実が描かれる。そして表題作では、人を評価する側に回った若者が「たった数分の面接で何がわかるのか」という問いに直面する。本気の一秒の誠実が、次の一歩を作るという静かな結末が待ち受けている。

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絶賛521
好評937
普通984
不評171
酷評35

TOTAL 2,648 reviews

18チア男子!!

チア男子!!

2010年刊行

3,910pt

TOTAL SCORE

柔道の名門道場に生まれながら、自分の限界を悟り退部を決意した大学一年生の晴希。同じく柔道を離れた幼なじみ一馬の誘いで、大学チア界初の男子のみのチームを立ち上げることになる。集まったのは、個性が強すぎる面々ばかり。男子がチアをやることへの冷たい視線を受けながらも、それぞれの葛藤や挫折を抱えた十六人が、たった二分三十秒の演技に全てをぶつけていく。最終章では、コーチに提出していた反省ノートをメンバー全員で回し読みするという儀式が行われ、互いの本音が明かされる場面が圧巻との声も多い。人を応援することが、誰かの力になり、そして自分自身をも輝かせる。デビュー作から続く著者の、みずみずしい青春スポーツ小説。

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絶賛474
好評676
普通561
不評104
酷評29

TOTAL 1,844 reviews

19世界地図の下書き

世界地図の下書き

2013年刊行

3,654pt

TOTAL SCORE

両親を事故で亡くした小学生の太輔は、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らし始める。心を閉ざしていた太輔だったが、個性豊かな仲間たちとの日々を通じ、少しずつ打ち解けていく。みんなのお姉さん的存在の高校生・佐緒里が、経済的な事情から進学の夢を諦め施設を旅立つことになったとき、小学生4人はある大胆な作戦を立ち上げる。学校でのいじめ、虐待の傷、断ち切られた夢といった現実に、子どもたちは不器用ながら一生懸命に立ち向かう。「逃げた先にも、同じだけの希望があるはずだもん」という言葉が、作品全体を貫くメッセージとして静かに響く。どんな道を選んでも希望の量は変わらないと信じることが、それぞれの世界地図を描く第一歩となる。坪田譲治文学賞受賞作。

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絶賛370
好評769
普通713
不評121
酷評25

TOTAL 1,998 reviews

20武道館

武道館

2015年刊行

3,623pt

TOTAL SCORE

武道館ライブを夢見る女性アイドルグループ「NEXT YOU」の軌跡を描いた長編小説。握手会やCD販売戦略、振付の工夫など、あらゆる手を尽くしてスターへの階段を上っていく彼女たちに、やがて「望まない種類の視線」が向けられるようになる。恋愛禁止、炎上、スルースキル、特典商法。アイドル文化が生み出した言葉の数々を丁寧に解きほぐしながら、著者が浮かび上がらせるのは現代を生きる人々の心の形だ。夢は、照明の数だけ歪む。それでも少女たちは選び続ける。「正しい選択なんてこの世にない。正しかった選択、しかないんだよ」。アイドルという職業が背負う十字架を文学の言葉で描ききった、真摯な物語。

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絶賛388
好評784
普通750
不評165
酷評21

TOTAL 2,108 reviews

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