夜市
2005年刊行
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夜市
妖怪たちが軒を連ねる不思議な市場、夜市。そこでは望むものが何でも手に入る。しかしその代価は、あまりにも残酷だ。大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司に誘われ、岬の森の奥に開かれたその市へと足を踏み入れる。実は裕司には、長年抱え続けた秘密があった。幼い頃に迷い込んだ夜市で、弟と引き換えに野球の才能を買ったのだ。甲子園にも出場したヒーローの裏側に、消えることのない罪悪感。そして今夜、彼は弟を買い戻すために再び夜市へとやってきた。ホラーと銘打たれながらも、読者からは「切ないファンタジー」「魂を鷲掴みにされた」と評される本作。恐怖よりも哀しみが色濃く滲み、幻想的な世界観の中に人間の欲望と後悔、そして贖罪の念が丁寧に描かれる。収録されたもう一篇、風の古道も「夜市より好き」と語るファンが多い傑作。著者のデビュー作にして直木賞候補となった、静かに心の深淵を揺さぶる一冊。
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