asobidiot

DATA-DRIVEN NOVEL RANKING

乃南アサ

独自に収集した評価データで選ぶ、"本当に愛されている小説"のランキング

PROFILE

東京都出身の小説家。早稲田大学社会科学部を中退後、広告代理店勤務を経て、1988年に「幸福な朝食」で日本推理サスペンス大賞の優秀作を受賞しデビュー。サスペンスや推理小説から大河小説まで多彩なジャンルを手がけ、巧みな構成と緻密な心理描写が特徴。1996年に女刑事・音道貴子シリーズの「凍える牙」で第115回直木三十五賞を受賞。その後も「地のはてから」で中央公論文芸賞、「水曜日の凱歌」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するなど、高い評価を受け続けている。相撲をこよなく愛する好角家としても知られ、力士・稀勢の里に「キセノン」という愛称を付けたことでも話題となった。

Wikipedia

ながら聴きでもご視聴いただけます

ランキング

1しゃぼん玉

しゃぼん玉

2004年刊行

2,194pt

TOTAL SCORE

罪を犯し逃亡生活を送る青年が、宮崎の山村で老婆との出会いをきっかけに再生していく物語です。通り魔や強盗傷害を繰り返す伊豆見翔人は、老婆に孫と間違われ、村人たちの温かいもてなしを受けるうちに、荒んだ心が癒されていきます。村での生活は、彼に生き方を見つめ直す機会を与え、過去の罪と向き合う決意を促します。読者からは「人ってやり直しができるんだ」「出会いって大切だな」といった声が寄せられ、罪を償い、更生していく翔人の姿に感動の声が多く寄せられています。物語は、罪を犯した青年が、周囲の温かさに触れ、自らの過ちを悔い、新たな人生を歩む姿を描き出します。

楽天で見る
絶賛775
好評768
普通526
不評78
酷評23

TOTAL 2,170 reviews

2凍える牙

凍える牙

1996年刊行

1,728pt

TOTAL SCORE

深夜のファミリーレストランで、突如男が炎上するという衝撃的な事件が発生します。遺体には獣によるものと思われる咬傷が残されており、警視庁機動捜査隊の音道貴子は、相棒である中年刑事・滝沢とともに捜査を開始します。しかし、同様の獣による咬殺事件が続発し、事件は異常な様相を呈していきます。怨念が引き起こす連続殺人事件の真相を追う貴子は、やがて野獣との対決へと向かいます。男社会の警察組織の中でもがきながらも、事件の真相を追い求める女性刑事の孤独な戦いを描いた作品です。読者は、一気に物語の世界に引き込まれ、スリルとスピード感、そして登場人物たちの心情が丁寧に描かれた世界観に没入するでしょう。特に、事件の鍵を握るウルフドッグ「疾風」の存在は、読者の心を強く惹きつけます。連続する事件、そして犬をバイクで追いかけるシーンは、手に汗握る展開です。ただ、動機が少し弱いと感じる読者もいるかもしれません。しかし、それを補って余りある、強烈な印象を残す作品です。

楽天で見る
絶賛530
好評879
普通1,072
不評133
酷評39

TOTAL 2,653 reviews

3鎖

2000年刊行

1,104pt

TOTAL SCORE

音道貴子が廃屋で目を覚ますと、手足は鎖で繋がれ監禁されていた。彼女を救出すべく特殊班が編成され、かつてコンビを組んだ滝沢刑事も参加する。犯人グループによる巧妙な現金強奪計画が明らかになる中、貴子は犯人の一人である女性を説得し、本部との連絡を試みる。しかし、特殊班はなかなか潜伏先にたどり着けず、貴子の体力と気力は限界に近づいていく。読者からは「本の厚さに驚いたが、読み応えがあり面白かった」「監禁されるシーンはリアルな臨場感とドキドキ感があった」という声がある一方で、「星野という刑事のクズさ加減には呆れた」という意見も。元コンビの滝沢の人間味あふれる活躍や、監禁された貴子の健気さが光る作品。

楽天で見る
絶賛309
好評526
普通609
不評28
酷評6

TOTAL 1,478 reviews

4風の墓碑銘

風の墓碑銘

2006年刊行

930pt

TOTAL SCORE

解体現場から発見された白骨死体を巡り、刑事・音道貴子が難事件に挑むミステリーです。認知症の家主が殺害され、唯一の鍵が消えるという謎が深まる中、音道はかつての相棒・滝沢と再びコンビを組むことになります。シリーズ最終作となる本作では、事件の真相に迫るだけでなく、音道と滝沢の関係性や、彼女の恋人との関係にも変化が訪れます。読者からは「音道刑事の芯の強さに心惹かれる」「滝沢刑事とのコンビが最高」といった声が寄せられ、二人の掛け合いや人間ドラマも楽しめる作品です。過去の因縁や複雑に絡み合った人間関係が明らかになるにつれ、事件は意外な展開を見せ、読者を最後まで飽きさせません。一見バラバラに見える事件が繋がり、衝撃の真実が明らかになる瞬間は、まさに圧巻です。

楽天で見る
絶賛249
好評465
普通349
不評21
酷評6

TOTAL 1,090 reviews

5風紋

風紋

1994年刊行

921pt

TOTAL SCORE

都内で起きた主婦殺害事件。被害者の娘、真裕子は突然母親を失い、日常は崩壊します。一方、加害者家族となった香織は、夫の裏切りに直面し、苦悩の日々を送ります。事件は関係者たちの人生を大きく狂わせ、それぞれの心の傷跡を深く刻み込んでいく。読者は、被害者遺族、加害者家族、そして事件を追う人々それぞれの視点から、事件の真相と、その後の人間模様を深く考えさせられるでしょう。登場人物たちの葛藤や心の機微が丁寧に描かれ、まるで自分自身が事件に巻き込まれたかのような感覚に陥ります。事件に関わる人々の運命が交錯する様は、まさに「風紋」というタイトルが示す通り、複雑で予測不能。読み進めるうちに、あなたはきっと、登場人物たちの感情に深く共鳴し、物語の世界に引き込まれるはずです。

楽天で見る
絶賛321
好評319
普通376
不評24
酷評8

TOTAL 1,048 reviews

6晩鐘

晩鐘

2003年刊行

859pt

TOTAL SCORE

『風紋』から7年後を描いた作品です。長崎で起きた中学生撲殺事件は、被害者遺族と加害者家族の人生に深い影を落としていました。事件で母親を亡くした真裕子は、癒えることのない傷を抱え、過去から逃れられずにいます。一方、加害者の妻であった香織は、事件後、大きく変貌を遂げ、その息子である大輔の将来に暗雲が立ち込めます。新聞記者の建部は、再び事件のその後を追うことになり、真裕子と再会します。読者からは「被害者家族は、事件、加害者、そして、被害者である母親の優しい思い出すら語り合うことはできない」という声も上がっており、事件が人々に与える影響の大きさを物語っています。重苦しい展開の中、真裕子と大輔がどのように生きていくのか、目が離せない作品です。

楽天で見る
絶賛297
好評297
普通321
不評24
酷評4

TOTAL 943 reviews

7地のはてから

地のはてから

2010年刊行

800pt

TOTAL SCORE

大正時代、福島から夜逃げ同然で北海道の知床へ移住した一家の物語です。主人公とわは、極寒の地で開拓民として生きる過酷な日々を送ります。バッタの襲来、父の死、貧困など、次々と不幸が襲いかかる中、彼女は懸命に生き抜こうとします。小学校卒業後、とわは小樽へ奉公に出ることになり、そこで初めて知床とは全く違う世界を目の当たりにするのでした。厳しい自然と貧困に翻弄されながらも、力強く生きる少女の姿を描いた感動的な物語です。読者は、彼女のひたむきな姿に勇気づけられるでしょう。

楽天で見る
絶賛251
好評350
普通197
不評30
酷評11

TOTAL 839 reviews

8涙

2000年刊行

774pt

TOTAL SCORE

東京オリンピックを目前に控えた1964年、主人公・萄子の婚約者である刑事の勝が突然失踪します。勝の上司の娘が殺害され、現場には勝の所持品が残されていたことから、彼は容疑者として追われる身に。しかし、萄子は勝の無実を信じ、わずかな手がかりを頼りに彼の足取りを追い始めます。川崎、熱海、焼津、田川…手がかりを元に、萄子は日本中を奔走し、やがて沖縄・宮古島にたどり着きます。捜査が進むにつれ、事件の真相が徐々に明らかになり、意外な人物が浮かび上がってきます。当時の風俗や社会情勢を背景に、男女の切ない愛を描いたミステリー作品です。読者からは「最後まで飽きずに読めた」「悲しい別れだったけど、きっと良かったのだと思う」といった感想が寄せられています。事件の真相とともに、萄子が新たな幸せを見つけるまでの道のりを描いた感動的な物語です。

楽天で見る
絶賛242
好評356
普通587
不評42
酷評12

TOTAL 1,239 reviews

9いちばん長い夜に

いちばん長い夜に

2013年刊行

664pt

TOTAL SCORE

前科を持つ芭子と綾香が、過去を背負いながらも新たな人生を歩む物語です。ペットの洋服作りで軌道に乗る芭子と、パン職人として奮闘する綾香。しかし、東日本大震災が二人の人生を大きく変えていきます。芭子は綾香の息子の消息を求めて仙台へ向かいますが、そこで震災に遭遇し、命の儚さを痛感します。読者はまるで自身があの場所にいるかのような、リアルな震災の描写に心を揺さぶられるでしょう。綾香は震災での経験を通して、過去の罪と向き合い、償いとは何かを深く考えます。彼女が抱える『私は幸せにはなってはいけない』という言葉の真意とは。二人はそれぞれの罪、家族、そして未来と向き合い、葛藤しながらも自立への道を歩み始めます。読後には、日常の幸せを忘れないようにしたいと思える、感動の完結編です。

楽天で見る
絶賛219
好評262
普通173
不評18
酷評9

TOTAL 681 reviews

10すれ違う背中を

すれ違う背中を

2010年刊行

624pt

TOTAL SCORE

過去を背負いながらも、谷中でひっそりと暮らす芭子と綾香。パン職人を目指し奮闘する綾香と、職探しに苦戦しながらも犬の服作りに生きがいを見つけ始めた芭子。そんなある日、商店街の福引で綾香が一等賞の大阪旅行を当て、二人は初めての大阪へ旅立つ。USJや道頓堀を満喫する中、綾香の過去を知る男が現れ、二人の日常にサスペンスが忍び寄る。前科を隠しながら生きる二人は、過去の影に怯えながらも、ささやかな幸せを掴もうと懸命に生きる。しかし、新たな出会いが彼女たちを予期せぬトラブルに巻き込む可能性も。互いを支え合いながら、過去と向き合い、未来へと歩んでいく二人の姿を描いた作品。

楽天で見る
絶賛156
好評356
普通280
不評28
酷評8

TOTAL 828 reviews

11いつか陽のあたる場所で

いつか陽のあたる場所で

2007年刊行

609pt

TOTAL SCORE

暗い過去を背負う小森谷芭子29歳と江口綾香41歳が、谷中で新しい人生を歩み始める物語です。人に知られてはならない過去を持つ二人は、緊張の日々の中、仕事を覚え、人情に触れ、少しずつ喜びを見出していきます。そんな中、綾香が魚屋に恋心を抱き、物語は予期せぬ方向へ進み始めます。女性の友情を描きながら、彼女たちが過去と向き合い、未来へと進む姿を丁寧に描いた作品です。読者は、何気ない日常の中に潜む心の葛藤や、ささやかな幸せを見つけることの尊さを感じ取ることができるでしょう。

楽天で見る
絶賛133
好評408
普通416
不評49
酷評8

TOTAL 1,014 reviews

12水曜日の凱歌

水曜日の凱歌

2015年刊行

435pt

TOTAL SCORE

昭和20年8月15日、終戦の日から始まる少女、鈴子の物語です。14歳の鈴子は、戦争で家族を失い、母と二人きりになります。英語が得意な母は、進駐軍相手の特殊慰安施設で通訳として働くことになり、鈴子も共に各地を転々とします。焼け跡の中、生きるために必死な女性たちの姿を通して、語られざる戦後が描かれます。進駐軍に媚びへつらう大人たちに不信感を抱きながらも、鈴子は逞しく生き抜く母の姿を複雑な思いで見つめます。女性たちは、戦争で変わってしまった価値観の中で、それぞれのやり方で生き延びようとします。この作品は、戦争の犠牲になった女性たちの強さと、混乱の中で新たな道を切り開いていく姿を描いた感動の長編小説です。戦後の深淵を覗き込み、生きることの意味を深く考えさせられる作品となっています。

楽天で見る
絶賛139
好評182
普通103
不評13
酷評6

TOTAL 443 reviews

13ニサッタ、ニサッタ

ニサッタ、ニサッタ

2009年刊行

423pt

TOTAL SCORE

ネットカフェ難民に陥った青年、耕平が主人公です。会社の倒産を機に、彼はワーキングプアへと転落します。借金を抱え、北海道の実家に戻るも、職は見つからず、新聞配達所で出会った杏菜が突然現れます。スーパーでの正社員の道が見えた矢先、彼は酒酔い運転で事故を起こしてしまうのです。どん底まで落ちた耕平は、家族や杏菜に支えられ、少しずつ立ち直っていきます。アイヌとアメラジアンという存在が、人生に絶望した人々に力強いメッセージを送る物語です。作中では、祖母の「身体さえあれば良い」「今日だけを考えて」という言葉が、耕平を変えるきっかけとなります。どんなにつらくても今日の夜まで頑張ろう、明日がきっと来る、そんな希望に満ちた物語です。

楽天で見る
絶賛107
好評265
普通239
不評42
酷評7

TOTAL 660 reviews

14未練

未練

2001年刊行

358pt

TOTAL SCORE

バツイチの刑事、音道貴子が出会う6つの事件を描いた短編集です。東京を舞台に、セクハラや腐乱死体にも動じない貴子が、人々の悪意に翻弄されながらも事件に立ち向かいます。カレー屋での口論から始まる表題作や、公園での幼児殺害事件「聖夜まで」など、都会に潜む孤独や闇が、貴子の視点を通して描かれます。読者の心を掴むのは、事件そのものよりも、登場人物たちの心情や、貴子自身の抱える孤独です。解決しない事件や、やりきれない思いが残る物語もあり、人間の複雑さや脆さを感じさせます。シリーズを通して、音道貴子の人間性がより深く理解できる一冊です。

楽天で見る
絶賛102
好評201
普通336
不評25
酷評11

TOTAL 675 reviews

15嗤う闇

嗤う闇

2004年刊行

355pt

TOTAL SCORE

巡査部長に昇進し、隅田川東署に異動した音道貴子が主人公の短編集です。下町を舞台に、レイプ未遂事件や、過去の栄光にすがるスターの悲哀、家庭問題を抱える刑事など、都会に生きる人々の心の闇を描いています。恋人がレイプ犯として疑われる事件では、彼女は個人的な感情と刑事としての職務の間で葛藤します。一見すると派手さはないものの、登場人物たちの孤独や哀れさが深く心に残り、読後には重苦しい感情が押し寄せるでしょう。しかし、それこそがこの作品の魅力であり、人間の弱さや脆さをリアルに感じさせてくれます。都会の片隅で生きる人々の日常と、その裏に潜む闇を描いた作品です。

楽天で見る
絶賛104
好評187
普通285
不評24
酷評8

TOTAL 608 reviews

16六月の雪

六月の雪

2018年刊行

340pt

TOTAL SCORE

声優の夢に破れた30代前半の杉山未來は、祖母の入院をきっかけに、祖母の故郷である台湾へ旅立ちます。祖母の記憶を辿りながら、台南の街を巡り、現地の人々との交流を通して、台湾の歴史や文化、人々の温かさに触れていきます。しかし、未來は台湾が日本の植民地であったことや、その後の歴史の中で台湾の人々が経験した苦難を知らず、自身の無知を痛感します。旅の中で出会う人々との交流や、祖母の記憶を辿る中で、未來は自身の人生を見つめ直し、新たな決意を胸に未来へと歩み出します。台湾の美しい風景や文化、そして人々の温かさに触れながら、自身のアイデンティティを見つめ直す、感動的な物語です。

楽天で見る
絶賛117
好評149
普通140
不評23
酷評10

TOTAL 439 reviews

17ボクの町

ボクの町

1998年刊行

311pt

TOTAL SCORE

警視庁城西署に勤務する巡査見習いの高木聖大は、警察手帳に彼女のプリクラを貼るような、どこか抜けた今どきの若者です。交番での勤務は、道案内や盗難届の処理、ケンカの仲裁など雑多な業務に追われ、失敗の連続でやる気を失いかけます。しかし、所轄の同期が犯人追跡中に大怪我を負ったことをきっかけに、彼は警察官としての職務に目覚めていくのです。読者からは「学生気分の抜けない新人警察官がある事件をきっかけに最後刑事を目指そうと思い直す。読後感悪くない」と評されています。また、「いまどきの若者である聖大が新人警官として様々な壁にぶち当たりながらも成長していく物語」として、共感を呼んでいます。聖大が様々な経験を通して成長していく姿を描いた、爽やかなポリス・コメディです。

楽天で見る
絶賛99
好評166
普通313
不評29
酷評12

TOTAL 619 reviews

18結婚詐欺師

結婚詐欺師

1996年刊行

305pt

TOTAL SCORE

江本美和子は練習場で出会った橋口の強引な誘いに戸惑いつつもデートを重ねるが、彼は結婚詐欺師だった。一方、阿久津刑事は、捜査を進めるうちに橋口が過去の事件の容疑者、松川と同一人物であると突き止める。さらに、被害者の中に、かつて恋人だった美和子の名があることを知り愕然とする。阿久津は、なぜ彼女が騙されてしまったのか苦悩する。橋口は甘い言葉と巧みな手口で女性たちの心を掴み、金銭を巻き上げていく。彼は自身の行為を「女たちに幸せを与えている」と正当化し、全く反省の色を見せない。阿久津は、証拠を集め、被害届を集め、執念深く橋口を追い詰めていく。しかし、それぞれの女性の心理、そして阿久津刑事の心情が痛いほどに伝わってくる展開に、読者は心を揺さぶられるだろう。現代にも通じる結婚詐欺の手口や、登場人物たちの心の葛藤がリアルに描かれた傑作サスペンス。

楽天で見る
絶賛90
好評182
普通388
不評43
酷評7

TOTAL 710 reviews

19火のみち

火のみち

2008年刊行

282pt

TOTAL SCORE

戦後、満州から引き揚げてきた南部次郎は、妹を守るために人を殺めてしまう。服役中に出会った備前焼に活路を見出し、陶芸家として生きる道を選ぶも、その内には狂気が潜む。一方、妹の君子は女優として成功するが、兄の存在を心の支えとしていた。陶芸家として、女優として、有名になるほど素性を隠し通せるはずもなく、二人の運命は交錯していく。これは、罪を背負った兄と、その妹の壮絶な人生を描いた物語。一度火がつくと止められない次郎の性が、彼らをどのような結末へ導くのか。土を練ることで心を鎮める次郎だが、過去の業火は消えることなく、常に彼を苛む。そんな次郎の傍には、献身的に尽くす八重子の姿も。しかし、次郎は彼女に冷たく、人間の真心がわからないのかとさえ言い放つ。この言葉が、後にどのような展開を招くのか。時間をかけて手に入れた生活を、自ら壊してしまうのか。読者は、次郎の危うさにハラハラし、どうか壊さないでと祈りたくなるだろう。これは、単なるサクセスストーリーではない。罪と業、そして家族の絆を描いた、乃南アサ渾身の人間ドラマ。

楽天で見る
絶賛102
好評118
普通168
不評30
酷評5

TOTAL 423 reviews

20駆けこみ交番

駆けこみ交番

2007年刊行

276pt

TOTAL SCORE

世田谷区等々力に赴任した新米巡査、高木聖大は、閑静な住宅街で不眠症の神谷文恵の話し相手となる日々を送っていました。そんな中、ひょんなことから指名手配中の殺人犯を逮捕する大手柄を挙げた聖大。しかし、その出来事をきっかけに、文恵を含む7人の老人グループ、通称「とどろきセブン」が聖大に近づいてきます。元棟梁や元シェフなど、個性豊かな特技を持つ彼らは、人情に厚く、独自のネットワークで地域の情報を集めて聖大に提供します。一見、心温まる交流に見えましたが、聖大は知らず知らずのうちに彼らに警察の情報を流していることに気づきます。老人たちの情報網を駆使した活躍は、「三匹のおっさん」を彷彿とさせ、どこかミステリアスな雰囲気を漂わせています。聖大は失敗や叱責を受けながらも、少しずつ警察官として成長していきます。そんな中、文恵が交番に訪れる本当の理由とは何なのか、そして、聖大に素敵な彼女はできるのか、目が離せません。読者からは「とどろきセブンを主役にした物語を読んでみたい」という声も上がっており、彼らの今後の活躍に期待が高まります。

楽天で見る
絶賛81
好評151
普通218
不評17
酷評10

TOTAL 477 reviews

21花散る頃の殺人

花散る頃の殺人

1999年刊行

245pt

TOTAL SCORE

警視庁機動捜査隊の音道貴子は、32歳バツイチの女性刑事です。本作は、彼女の日常と、彼女の前に現れる都会の犯罪者や犠牲者たちを描いた連作短編集です。音道貴子のゴミを狙う変質者、援助交際の女子高生を襲う連続暴行魔、ホテルで怪死した熟年夫婦など、彼女が遭遇する事件は多岐にわたります。一作目のようなドキドキやハラハラ感はないものの、警察官たちの地道な苦労が垣間見え、音道貴子の刑事生活の日常を切り取ったような内容となっています。彼女の出世欲や、職場での人間関係、そしてプライベートな悩みも描かれており、等身大の女性として共感できる部分も多いでしょう。全体的に季節感のある作品で、それぞれの事件に人間の悲哀が滲み出ており、読後感がモヤモヤするところもありますが、それが逆にリアリティを感じさせます。表題作のように切ないものから、気軽に読める箸休め的な話まで、バラエティ豊かな作品集です。

楽天で見る
絶賛53
好評174
普通445
不評31
酷評2

TOTAL 705 reviews

22チーム・オベリベリ

チーム・オベリベリ

2020年刊行

236pt

TOTAL SCORE

乃南アサの『チーム・オベリベリ』は、明治維新後の北海道、帯広の開拓に挑んだ人々の物語です。文明開化の横浜から、オベリベリと呼ばれた未開の地へ移り住んだ鈴木カネを中心に、厳しい自然、貧困、人間関係の葛藤が描かれています。高等教育を受けたカネは、開拓団の一員として、家事、育児、農作業に明け暮れながら、アイヌの人々との交流を通して生きる知恵を学びます。困難な状況下でも、カネは信仰を心の支えとし、家族と共に生き抜くことを決意します。読者は、彼女の視点を通して、北海道開拓の歴史と、そこで生きた人々の強さ、そして現代に繋がる礎を感じ取ることができるでしょう。開拓の苦労は並大抵ではなく、チームワークも崩れていく様子が描かれていますが、カネの気丈さが光る一冊です。帯広の厳しい自然環境や、バッタの襲来、不作といった困難に立ち向かう姿は、想像を絶するものがあります。彼女は、元武家の娘でありながら、困難な状況に耐え、誰に対しても優しく接する姿は、読む人の心を打ちます。

楽天で見る
絶賛77
好評105
普通61
不評13
酷評5

TOTAL 261 reviews

23家裁調査官・庵原かのん

家裁調査官・庵原かのん

2025年刊行

234pt

TOTAL SCORE

福岡家裁北九州支部を舞台に、家裁調査官・庵原かのんが向き合う少年事件の数々。自転車窃盗、JKビジネス、バイク暴走、女性暴行など、罪を犯した少年少女たちの心の闇に迫ります。彼女は、事件の当事者たちの声に耳を傾け、その奥に潜む「深い根」を探り当てようと奔走します。読者は、各事件の背景にある家庭環境や社会問題を垣間見ながら、少年たちの更生への道のりを案じることでしょう。乃南アサ氏が描く、少年たちの心の機微と、それに向き合う人々の葛藤が、読者の心を揺さぶります。ある読者は「育った環境によって、こうもヒトは影響されるのかと改めて痛感する」と語り、また別の読者は「少年少女たちが少年犯罪や人に迷惑をかける行動を理由があると考える主人公かのんの考え方は、人を見るときに大切な視点である」と述べています。読み進めるうちに、事件の背後にある社会の歪みや、人間関係の複雑さに気づかされるかもしれません。困難な状況に置かれた少年たちと、彼らを支えようとする人々の姿を通して、社会のあり方を問いかける作品です。

楽天で見る
絶賛65
好評135
普通130
不評17
酷評7

TOTAL 354 reviews

24雫の街

雫の街

2023年刊行

174pt

TOTAL SCORE

横浜家庭裁判所川崎中央支部を舞台に、家裁調査官・庵原かのんが、離婚や相続といった家庭内の問題に奔走する姿を描いた連作短編集です。不貞を繰り返す妻、モラハラ夫、記憶喪失の男など、社会から零れ落ちそうな人々に寄り添い、それぞれの事情に真摯に向き合います。コロナ禍で浮き彫りになった社会の変化や、登場人物たちの心の闇、そしてほのかな希望が交錯する中で、かのんは事件の真相を解き明かしていきます。読者からは「人の心の闇に一筋の道を探し続ける、かのんに祝福あれ!」と、彼女のひたむきな姿勢に共感の声が寄せられています。特に最終話の「はなむけ」は、母の深い愛情に感動したという意見が多く、胸を打つ物語として評価されています。家族の在り方や、人間関係の難しさ、そして温かさを感じられる作品です。

楽天で見る
絶賛35
好評113
普通60
不評7
酷評1

TOTAL 216 reviews

25禁猟区

禁猟区

2013年刊行

164pt

TOTAL SCORE

乃南アサさんの『禁猟区』は、警察官が犯罪に手を染める瞬間を描いた短編集です。ホストに貢ぐために少女たちを食い物にする女警察官、病気の息子を救った健康食品を暴力団に紹介する刑事、時効間近の事件で証拠を捏造するベテラン刑事など、立場を利用して道を誤る警察官たちの姿が描かれています。監察官として不正を暴く沼尻いくみの活躍とともに、警察内部の緊張感と人間ドラマが展開されます。「踏み込んではいけない禁猟区」に足を踏み入れてしまった彼らの末路は、読者の心を揺さぶるでしょう。警察官もまた、誘惑に弱い人間であることを痛感させられる作品です。

楽天で見る
絶賛53
好評114
普通203
不評36
酷評10

TOTAL 416 reviews

26美麗島紀行

美麗島紀行

2021年刊行

160pt

TOTAL SCORE

乃南アサが台湾の魅力を丹念に描き出した紀行エッセイです。東日本大震災の義援金をきっかけに台湾へ興味を持った著者が、各地を巡り、人々と語らい、食を通じてその素顔に迫ります。日本人の親友の妹と結婚した考古学者、日本統治時代を懐かしむ古老、零戦乗りを祀る人々との出会いを通じて、台湾の歴史と文化、そして日本との深いつながりを浮き彫りにします。読者はまるで台湾を旅しているかのように、その歴史的背景や人々の温かさに触れ、知らなかった台湾を発見できるでしょう。台湾の光と影、多様な表情を活写し、私たちが忘れかけている大切な何かを思い出させてくれる一冊です。台湾をより深く知りたい方、歴史と文化に触れたい方におすすめします。台湾の歴史を学び、その魅力を再発見できるでしょう。

楽天で見る
絶賛56
好評62
普通38
不評6
酷評4

TOTAL 166 reviews

27家族趣味

家族趣味

2014年刊行

153pt

TOTAL SCORE

乃南アサの『家族趣味』は、一見幸せそうな家族の裏に潜む、人間の心の闇を描いた短編集です。表題作では、家族を趣味と割り切る奔放な女性の日常が、ある日突然崩壊する様を描いています。他にも、宝石への執着が破滅を招く女性を描いた「魅惑の輝き」、理想の上司が豹変する恐怖を描いた「忘れ物」など、人間のどうしようもなさを突きつける作品が収録されています。読めば、人間の異常な性格が招く悲劇に、あなたはきっと心を揺さぶられるでしょう。

楽天で見る
絶賛59
好評83
普通196
不評32
酷評8

TOTAL 378 reviews

28マザー

マザー

2024年刊行

149pt

TOTAL SCORE

アニメのような三世代家族から独立して家庭を持った青年が、コロナ禍の間に立て続けに身内が亡くなった実家に久々に帰る『セメタリー』、過労によるうつ病で医師の仕事をやめて離婚した兄から、その身を案じながら亡くなった母の一周忌を前に再婚の知らせが届く『ワンピース』、娘が嫁いで一人残された高齢女性が、やがてマンション内で鞘当てが起きるほどに華やかに変貌していくさまを管理人の目から見た『アフェア』など、「母」という名に隠された一人の女性としての“本当”の姿を描き出す、直木賞作家渾身の家族小説!

楽天で見る
絶賛44
好評110
普通120
不評23
酷評13

TOTAL 310 reviews

29暗鬼

暗鬼

2001年刊行

145pt

TOTAL SCORE

乃南アサさんの『暗鬼』は、一見理想的な大家族に嫁いだ主人公が、徐々にその家族の異質さに気づき、疑心暗鬼に陥っていく物語です。近所で起きた心中事件をきっかけに、主人公は家族の秘密に触れ始めます。家族は温かく親切ですが、主人公を排除した夜の会議や、どこか奇妙な行動に、読者は底知れぬ不安を覚えるでしょう。物語が進むにつれ、家族の過去や隠された儀式が明らかになり、読者は「やっぱり気持ち悪い」と感じるはずです。家族という名の宗教の中で、主人公は自我を失い、マインドコントロールされていきます。読者は、主人公が家族の呪縛から逃れられるのか、それとも完全に飲み込まれてしまうのか、最後まで目が離せません。読めば読むほど、家族の異常さが際立ち、背筋が凍るような感覚を覚えるでしょう。

楽天で見る
絶賛85
好評170
普通342
不評103
酷評46

TOTAL 746 reviews

30紫蘭の花嫁

紫蘭の花嫁

2000年刊行

136pt

TOTAL SCORE

乃南アサさんの『紫蘭の花嫁』は、逃亡を続ける花屋の店員、三田村夏季と、連続女性殺人事件を追う刑事部長・小田垣の物語です。一見無関係に見える二つのストーリーが、複雑に絡み合い、読者を予想外の結末へと導きます。物語は、夏季が何故逃げるのか、殺人鬼は誰なのかという謎を軸に進みます。読み進めるうちに、連続殺人犯の独白と思われたものが、実は意外な人物の告白だったと判明し、衝撃を受けるでしょう。ラストの怒涛の展開は、読者の心を掴んで離しません。30年前の時代設定も、現代のネット犯罪の序章を感じさせ、物語に深みを与えています。読者は、登場人物たちの人間性に触れ、誰が敵で誰が味方なのか、最後まで翻弄されることでしょう。そして、最後に待ち受ける不気味な予感は、読後も長く心に残ります。まさに「嘘でしょ」と息を呑むような、捻くれた結末が待っています。

楽天で見る
絶賛51
好評91
普通166
不評33
酷評12

TOTAL 353 reviews

← 小説ランキング一覧へ