学ぶことは、もう一度、生きることだった。
2026年11月6日、映画『星の教室』が全国公開されます。いじめで学校に通えなくなった主人公が、さまざまな事情から学ぶ機会を失った人たちが集う「夜間中学」に入学し、年齢も国籍も異なる同級生たちとの出会いを通じて再出発していく物語です。文部科学省選定。主題歌は新しい学校のリーダーズが歌う「見上げてごらん夜の星を」——坂本九の名曲を、いまの声で届け直す選曲にも、この映画のテーマが重なります。
この映画には、3つの注目すべき線が交差しています。
1つ目は、角川春樹の最後の総監督作品であること。『犬神家の一族』で角川映画を興し、薬師丸ひろ子、原田知世といったヒロインを世に送り出してきた角川春樹が、半世紀にわたる映画人生の最後に選んだのが、夜間中学の物語でした。
2つ目は、主演の桜田ひより。『祈りの幕が下りる時』で松嶋菜々子演じる浅居博美の14歳時代を演じ、「一瞬呼吸を止めるほどの切なさ」とレビューで絶賛された子役が、8年を経て角川映画の主演に立ちます。
3つ目は、原作者の高田郁。累計300万部超の『みをつくし料理帖』で知られる作家が、2020年の映画版『みをつくし料理帖』に続いて角川春樹と再びタッグを組みました。
この記事では、3つの線をそれぞれ追いながら、当サイトのランキングデータと一緒に映画を予習していきます。
映画『星の教室』とは — 夜間中学で始まる、再出発の物語
主人公は、いじめによって学校に通えなくなった潤間さやか(桜田ひより)。彼女が足を踏み入れるのは、義務教育を受ける機会を失った人たちが学ぶ「夜間中学」。戦争や貧困で学べなかった高齢者、日本語を学ぶ外国人、不登校だった若者——年齢も国籍も事情も異なる「同級生」たちとの出会いを通じて、さやかは学ぶ喜びと、人生を生き直す希望を見出していきます。
監督を務めるのは、『四月の永い夢』でモスクワ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞した中川龍太郎。詩人としてキャリアを始めた中川は、『わたしは光をにぎっている』『やがて海へと届く』など、静かに人間の内面を照らす作品を撮り続けてきた監督です。その繊細な眼差しが、夜間中学の教室に集う人々の物語をどう映すのか。共演には浅野温子、中尾ミエ、山本學、真木よう子、小泉孝太郎、原田泰造、萩原聖人ら。試写会では「もうずっと泣きっぱなし」「今の自分を少し変えてみたくなりました」という声が上がっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開日 | 2026年11月6日(金)全国公開 |
| 総監督 | 角川春樹 |
| 監督 | 中川龍太郎 |
| 脚本 | 松井香奈、角川春樹 |
| 原作 | 高田郁『星の教室』 |
| 主題歌 | 新しい学校のリーダーズ「見上げてごらん夜の星を」 |
| 出演 | 桜田ひより、浅野温子、中尾ミエ、山本學、真木よう子、小泉孝太郎、小林虎之介、三戸なつめ、ナターシャ、原田泰造、萩原聖人、仙道敦子 |
| 配給 | Fly Free Entertainment、NAKACHIKA |
| 選定 | 文部科学省選定 |
角川春樹 — 半世紀の映画人生、最後に選んだのは「教室」だった
角川春樹という名前は、日本映画の歴史そのものです。1976年、横溝正史の『犬神家の一族』を映画化し、テレビCMを使った革新的な宣伝手法で大ヒットさせたのが角川映画の始まり。以降、『セーラー服と機関銃』(1981年)、『蒲田行進曲』(1982年)、『復活の日』(1980年)、『戦国自衛隊』(1979年)と、出版と映画を連動させる"角川商法"で邦画の風景を塗り替えました。
角川映画を語るうえで欠かせないのが、"角川三人娘"と呼ばれたヒロインたちの存在です。薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子——1980年代の角川映画は、この3人のヒロインが一時代を築きました。角川映画のヒロインとは、ただの主演女優ではなく、映画と同時に時代の空気を体現する存在でした。
そして2020年、角川春樹は自ら監督として高田郁の『みをつくし料理帖』を映画化しています。松本穂香を主演に迎え、江戸の料理人・澪の奮闘を描いたこの作品で、角川は高田郁の「困難に立ち向かう人間の強さ」を描く筆力に惚れ込んだのでしょう。最後の総監督作品にも、再び高田郁の原作を選んだのですから。
「これまで積み重ねてきた映画人生の中でも、特別な意味を持つ一本です」——角川はこの映画についてそう語っています。薬師丸ひろ子や原田知世の系譜に連なる"最後のヒロイン"として桜田ひよりを選び、「苦しみを描くからこそ、光が生まれる」というテーマを託した。華やかなアクションでもミステリーでもなく、夜間中学の教室を最後の舞台に選んだことに、角川春樹の映画人としての到達点が見えます。
桜田ひより — 『祈りの幕が下りる時』の子役から、角川映画のヒロインへ
桜田ひよりは2002年生まれ、千葉県出身。小学4年生で研音のオーディションに合格し、2014年のドラマ『明日、ママがいない』で本格的に芸能活動を開始しました。2017年には『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』で映画初主演を果たしています。
大きな転機は、2018年の映画『祈りの幕が下りる時』でした。東野圭吾原作の「新参者」シリーズ完結編で、松嶋菜々子が演じた舞台演出家・浅居博美の14歳時代を桜田が演じています。壮絶な過去を背負いながら父(小日向文世)とともに各地を転々とする少女の姿は、多くの観客の心を震わせました。レビューには当時15歳の彼女の名前が繰り返し登場しています。
「桜田ひよりがとても良いのです」「子役の女の子は素晴らしい、一瞬呼吸を止めるほどの切なさだった」「小日向さんと桜田ひよりちゃんの演技がとにかくすんごい」——。阿部寛、松嶋菜々子、小日向文世といった実力派が揃う座組の中で、子役の存在が観客の感想にこれほど刻まれるのは、並の演技ではありません。ある観客は「浅居博美の若き日を演じた桜田ひより、飯豊まりえさんも良かった」「この頃から演技が上手!」と、子役の頃から才能を見抜いていた記録を残しています。
当サイトの桜田ひよりランキングでも、『祈りの幕が下りる時』が堂々の1位。子役出演でありながら作品の評価にしっかり貢献している証です。2位は辻村深月原作の『この夏の星を見る』、3位は山口つばさの漫画を実写化した『ブルーピリオド』と続きます。
2023年には映画『交換ウソ日記』で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2025年には第17回TAMA映画賞最優秀新進女優賞も獲得し、名実ともに「子役」の肩書きを脱ぎました。
ちなみに、ランキング2位の『この夏の星を見る』は、コロナ禍で離れ離れになった天文部の高校生たちがオンラインで星を観測する物語。「星」と「学び」が交差するテーマは、今回の『星の教室』と重なります。3位の『ブルーピリオド』も、美術を通じて「学ぶことで自分を変えていく」物語。桜田ひよりのフィルモグラフィーの中に、「星の教室」へと繋がる線がすでに引かれていたように見えるのは、偶然かもしれませんが面白い一致です。
そして今回、角川春樹が「最後の映画」の主演に桜田ひよりを据えたことで、薬師丸ひろ子、原田知世の系譜に新しい名前が加わりました。『祈りの幕が下りる時』で泣かされた子役が、8年後に角川映画のヒロインとしてスクリーンに立つ。その成長を、ランキングから追いかけてみてください。
桜田ひより 出演映画・ドラマランキング TOP20
『祈りの幕が下りる時』『この夏の星を見る』『ブルーピリオド』——レビューデータで選ぶ、桜田ひよりのベスト出演作。『星の教室』公開前に予習を。
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高田郁 — 300万部の料理帖から、夜間中学の教室へ
原作者の高田郁は1959年兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部を卒業後、司法試験の受験を重ねますが叶わず、1993年に「川富士立夏」のペンネームで漫画原作者としてデビューしました。40代で山本周五郎の作品に衝撃を受け、網膜に孔が開いたことを機に時代小説家へ転身。2008年の『出世花』で小説家デビューを果たし、翌2009年に刊行を始めた『みをつくし料理帖』シリーズが全10巻・累計300万部を超える大ヒットとなりました。2013年と2022年には大阪ほんま本大賞を2度受賞しています。
当サイトの高田郁ランキングを見ると、その『みをつくし料理帖』の読者支持は圧巻です。全10巻がすべてTOP20に入り、1位は第1巻の『八朔の雪 みをつくし料理帖』。レビューには「料理好きにはたまらなく面白かった」「夢中になって一気に読んでしまいました」「泣かされました」と、シリーズ全巻への読書体験の入り口としての熱量が詰まっています。2位は大坂の天秤棒から始まる職人の物語『銀二貫』、3位は最終巻の『天の梯 みをつくし料理帖』。もうひとつの代表作『あきない世傳 金と銀』シリーズも全13巻が並び、ランキングは高田作品で埋め尽くされています。
高田郁の作風の核にあるのは、困難に立ち向かいながら真摯に生きる人々の姿です。料理人として苦難に耐えながら成長する『みをつくし料理帖』の澪。大坂の呉服商で奮闘する『あきない世傳 金と銀』の幸。「生きる力」を江戸の市井の人々に託して描き続けてきた作家が、今回選んだのは現代の夜間中学という舞台でした。時代は変わっても、困難の中で学び、人と繋がり、生き直す——というテーマは地続きです。
そして注目すべきは、この『星の教室』が角川春樹にとって2度目の高田郁原作の映画化だということ。2020年、角川春樹は自ら監督として『みをつくし料理帖』を映画化しました。その角川が、映画人生の最後にもう一度高田郁を選んだ。「苦しみを描くからこそ、光が生まれる」という角川の言葉は、高田郁がこれまでのすべての作品で描いてきたことと、そのまま重なります。
当サイトのランキングで『星の教室』は33作品中21位。みをつくし料理帖やあきない世傳シリーズの全巻が上位を占める中、時代小説ではない現代長編としては健闘しています。映画公開をきっかけに原作を手に取る読者が増えれば、この順位は変わっていくはずです。まずはランキングで、高田郁という作家の引力を確かめてみてください。
高田郁 小説ランキング TOP30
『みをつくし料理帖』全10巻がすべてTOP20入り。『銀二貫』『あきない世傳 金と銀』も。データで見る高田郁の読者支持。
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まとめ
- 映画『星の教室』は2026年11月6日(金)公開。高田郁の原作を桜田ひより主演、角川春樹の最後の総監督作品として映画化。監督は中川龍太郎
- 桜田ひよりは『祈りの幕が下りる時』の子役時代からレビューで絶賛され、日本アカデミー賞新人俳優賞を経て角川映画のヒロインへ。当サイトのランキングでも子役出演の同作が1位
- 原作者の高田郁は、角川春樹が2020年に監督した『みをつくし料理帖』に続く2度目のタッグ。ランキングでは全10巻がTOP20入りする圧倒的な読者支持を誇る
夜間中学という教室で、もう一度学び直す物語。角川春樹が映画人生の最後に届けたかったものを、スクリーンで確かめてみてください。
映画『星の教室』 2026年11月6日(金)全国公開 / 配給: Fly Free Entertainment、NAKACHIKA / 総監督: 角川春樹 / 監督: 中川龍太郎 / 脚本: 松井香奈、角川春樹 / 原作: 高田郁『星の教室』 / 主題歌: 新しい学校のリーダーズ「見上げてごらん夜の星を」 / 出演: 桜田ひより、浅野温子、中尾ミエ、山本學、真木よう子、小泉孝太郎、小林虎之介、三戸なつめ、ナターシャ、原田泰造、萩原聖人、仙道敦子
本記事の作品情報は2026年11月時点の公式発表・各種報道に基づきます。
